2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦後復興期日本の闇物資流通・取締と民衆:1948年甲府専売支局管内闇煙草の事例
Project/Area Number |
21K01617
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
山本 裕 獨協大学, 経済学部, 教授 (10550113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 廉孝 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90708398)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本経済史 / 戦後復興期 / 闇市場 / 煙草 / 専売 / 山梨県 / 日本専売公社 / 大蔵省専売局 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の3年目にあたる令和5年度は,収集してきた史料・データの分析と史料の補足的な調査を実施した。研究代表者と研究分担者が実施した作業は以下の通りである。 研究代表者(山本)は,前年度までに収集した『山梨日日新聞』・『山梨時事新聞』に掲載された闇煙草流通・取締に関する記事の精読を通じ,当該期における民衆の認識に接近すべく考察を行った。この事前的な考察より戦後復興期における民衆認識の把握には,当該期の多様な社会運動・労働運動の実態まで視野を広げた検討が不可欠であることが判明した。そこで,上記課題の達成を目的として社会運動・労働運動に関する先行研究を広くサーベイし,論稿の準備を進めた。 研究分担者(前田)は,前年度までと同様に西南学院大学図書館所蔵『専売取締事件簿』(大蔵省専売局・1948年)の分析を進めた。令和4年度の実施状況報告書において報告したように,同史料は甲府専売支局が1948年に実施した煙草専売法違反関連取締の対象者約500名の取調内容を網羅的に記録し,そのデータベース化は完了している。しかし,闇物資の取引を実証的に考察した先行研究が皆無である状況下において論点の抽出に困難を来していた。そこで,2024年3月に米国ワシントン州シアトルで開催されたAssociation for Asian StudiesのAnnual Conferenceに参加し,欧米圏の日本近代史研究者が集まるModern Japan History Associationのミーティングで情報を募った。その結果,フロリダ州立大学歴史学科のAnnika A. Culver氏より戦後占領期日本の闇市場を専門とするハーバード大学歴史学専攻のJesus Solis氏を紹介され,Solis氏と共同研究を開始することとなった。Solis氏との共著論文は2024年度内に査読付き国際学術誌へ投稿予定である。
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