2023 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災からの生活再建を制度・生活資源・認識から分析する枠組みの提案と検証
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21K01831
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平川 全機 北海道大学, 文学研究院, 特任助教 (30572862)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 生活再建 / 制度 / 選択 / 認識 / 主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災の津波により被災した人びとがこの10年の間にたどった多様で複線的な定住過程の分析枠組みを提案・検証しようとするものである。2021年度は主に先行研究の整理と過去に実施した聞き取り調査の再分析によって分析枠組み構築に必要な論点を抽出した。2022年度は現地でのインタビュー調査を行い予備的な考察を行った。2023年度は新型コロナウイルス感染症の影響が長期化したため遅れていた現地でのインタビュー調査の継続とこれまで得られたデータの分析に重点をおき研究を実施した。2023年度のインタビュー調査では、これまで考えられてきた一般的な「復興」や「生活再建」とは直結しないと思われるような活動が当事者の主体性との関わりで重要なポイントの一つであることが浮かび上がってきた。これは災害からの復興・生活再建を考える上で新たな視点を与える可能性がある。 これらの調査データと新たな知見を踏まえ、第96回日本社会学会大会で「東日本大震災からの生活再建の複線的経路をたどる:宮城県石巻市北上町の被災者の選択にかかわる制度と認識」と題して報告(平川全機,・髙﨑優子)を行った。また9th International Symposium on Environmental Sociology in East Asiaにおいて"Recovery from Reconstruction: The Issue of Village Ruins and the Development of Resident Autonomy, Twelve Years after the East Japan 3.11 Tsunami“の題目で共同で発表(Yuko TAKASAKI, Zenki HIRAKAWA)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度まで新型コロナウイルス感染症の影響が長期化したことによって現地でのインタビュー調査に遅れが生じていた。2023年度より現地でのインタビュー調査に力点を置きつつ研究の推進に努めたが、十分な成果をあげるには翌年度に一部を繰り越すことが必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に発表した研究成果に対する指摘を踏まえ、現地でのインタビュー調査を中心に補足的な調査を実施する。それらに基づいてより精緻化した論文による研究成果の発表を目指す。
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Causes of Carryover |
2022年度に新型コロナウイルス感染症による影響でインタビュー調査の一部が実行できなかったため、その影響で2023年度の現地でのインタビュー調査を中心とした計画が後ろ倒しとなっている。そのため次年度使用額が発生した。 2024年度は補足的なインタビュー調査の実施に必要な経費に使用するほか、研究成果をより精緻化し論文等での発表するための経費として執行することを予定している。
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