2022 Fiscal Year Research-status Report
教師が見出す美術の方法論と教育内容・指導・評価をつなぐプログラムの構築
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21K02211
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小口 あや 茨城大学, 教育学部, 助教 (00825698)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 教育内容 / 教育方法 / 美術科授業づくり / 美術の方法論 / 教師の作品体験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に行った研究を論文化し、美術科教育学会の学会誌に投稿した。査読は通過しなかったが、そこでまとめたことで、美術科教育では「表現や鑑賞(美術)自体の価値」と「作品(美術)を成立させるための方法論、つまり美術の方法論」を教育内容とすべきであることを理論化することができた。 これを受けて、その後は「美術の方法論を美術科教育内容とするための手順」「美術の方法論を教育内容とする授業の展開の例」について明らかにした。主に、茨城県近代美術館の教育プログラム「中学生のための美術館アカデミー」の計画・実践で研究を進めた。これは、中学生を対象に美術館の展示作品を鑑賞する指導を行うものであった。ここで、作品体験から教育内容や教育方法を考案するには、教師自身の作品体験として「鑑賞」「表現」「文献調査」「インタビュー」が有効であることが分かった。そして、教師が作品体験から得た複数の美術の方法論を、グループ分けして見出しをつけて関連付けることで体系化する。これを、生徒の状況を踏まえ目指す姿を見据えた上で行う。この手順で、美術の方法論を美術科教育内容にすることができることも分かった。こうしてできた教育内容は、「中学生のための美術館アカデミー」の実践の核となり、その場の状況に合わせた複数の教育方法で実現され、本研究の展開例とすることができた。 教育内容の構築については、定期的に開催している美術教育研究会において、様々な立場の方からこの計画について情報を収集するなどして準備をした。そして、これらについて収集した情報を美術科授業づくり方法論としてまとめた。それを、2023年3月末に開催された第45回美術科教育学会兵庫大会で「教師の作品体験に根差した美術科授業づくり方法論」と題して口頭発表を行った。この口頭発表においても、さらに情報収集をすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、構築した理論を美術教育の実践の場で確かめる機会(茨城県近代美術館での教育プログラム「中学生のための美術館アカデミー」の計画・実践)を得られた。その計画・実践を行う中で、情報収集や理論の構築、実効性の証明ができた。また、それらをまとめ、美術科教育学会での口頭発表をすることができた。以上の理由より「(2)おおむね順調に進展している」が妥当であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に構築した「美術の方法論を美術科教育内容とするための手順」を、いつでも誰であっても行えるものに整える。今年度は、それを論文化し、美術科教育学会に投稿することで、より根拠のある手順にする。最終的にはその手順を分かりやすく示した冊子を作製し、教育現場に配布することを目指す。 また、「中学生のための美術館アカデミー」は、次年度も計画・実施できるので、さらに「美術の方法論を教育内容とする授業の展開の例」として示す。
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Causes of Carryover |
購入予定でった書籍が絶版であったり、予想より多少安く手に入れることができたりした物品があり、残額が生じた。次年度すぐに必要な物品を購入する。
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