2022 Fiscal Year Research-status Report
認知症の人の社会的包摂に向けた一般市民への意識啓発のあり方に関する国際比較研究
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21K02239
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鈴木 尚子 徳島大学, 人と地域共創センター, 准教授 (00452657)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知症 / 一般市民 / 意識啓発 / 社会的包摂 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には、本研究の基盤を固めることを目的として前年度に実施した国内外の先行研究に関する調査研究の内容、過去に諸外国で実施した調査研究をもとに本研究課題に関連して新たに析出した内容、地元自治体で実施した一般市民の認知症に対する意識調査の結果等を整理・分析し、その成果を関連する国内の学会(日本比較教育学会第58回大会、日本老年社会科学会第64回大会、日本社会教育学会第69回大会)において発表した。また、特に自身が地元自治体で行った一般市民を対象とした意識調査に改めて焦点を当て、諸外国との比較の観点から考察し、国際会議(6th International Conference on Research in Education, Teaching and Learning)で発表した。この他、これまでの研究成果をもとに、教育関係者が認知症をめぐる教育事業に関わることの意味という視角から取りまとめ、自身が所属する学会の年報(『日本の社会教育第66集 高齢社会と社会教育』東洋館出版社)に投稿した。 以上に併行し、認知症をめぐる一般市民の意識把握と彼らへの啓発活動の動向について、過去約25年間の国内外の文献をもとに整理し、所属機関における2022年度発行の紀要に投稿した。 さらに、本研究課題の遂行過程においては、研究内容を活かした一般市民への認知症に関する意識啓発活動を、(当該研究課題に関して自身が開講した所属機関公開講座の受講者である)一般市民数名の協力を得ながら進めている。当該年度には、所属機関のある徳島県内において、複数の自治体関係部署と連携し、それぞれの地域の特性や参加者の年齢・経歴・関心等に応じて独自に開発した意識啓発プログラムを計6回実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施した先行研究に関する調査研究や、地元自治体において実施した意識調査の結果等を整理し、関連学会等で発表するとともに、(計画の最終段階に予定していた)一般市民への認知症に関する意識啓発活動を自身が主体的に実施できたという意味においては、予定以上に計画を進められたと思われる。一方、2022年度もコロナ禍が続いたことから、国内外で予定していた調査研究を遂行することが難しい時期が続き、その面での計画は2023年度以降の課題となった。 しかしながら、コロナ禍を活かし、先行研究としての文献調査にじっくりと取り組めたことや、地元自治体での実践活動に主体となって取り組めたことにより、今後調査研究をする上での論点や課題が明確になったことも多く、研究期間全体としてはおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、コロナ禍の影響により、2021年度並びに2022年度に実施が困難であった国内外での調査研究を本格的に遂行したいと考えている。国内では、先進的な取り組みのみられる候補先に打診し、了承を得られた場合は調査研究を開始する。国外では、今後の世界情勢や為替レート等を見据えながら、複数国の関係者に調査研究を打診し、了承を得られた所から調査に向けた調整を行い、予算の範囲内で可能な限り年度内に調査を遂行する。 同時に、2022年度から本格的に開始した一般市民を対象とした認知症をめぐる意識啓発事業については、可能な限り継続する。すでに実績のある地域においては、活動の参加者を対象に実施したアンケート調査等を踏まえてフォローアップしながら、さらに内容を改善し、今後の活動に活かしていく。また、こうした実践面での創意工夫については、今後国内外での調査を本格化する中で、他所の先進的な事例から学び、自身の活動の発展に活かしていく所存である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続き、国内外での移動が制限されたため、旅費として計上していた予算をほとんど使用することができないままとなり、次年度使用額が生じた。これについては、2023年度以降、調査研究を本格的に開始することにより補っていきたいと考えている。
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Research Products
(6 results)