2021 Fiscal Year Research-status Report
総合的な学習の時間における「深い学び」を実現する教師の育成プログラムの開発
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21K02525
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤上 真弓 山口大学, 教育学部, 准教授 (40737566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹岡 亮 山口大学, 教育学部, 教授 (10293135)
熊井 将太 山口大学, 教育学部, 准教授 (30634381)
中田 充 山口大学, 教育学部, 教授 (60304466)
霜川 正幸 山口大学, 教育学部, 教授 (80437615)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 総合的な学習の時間 / 深い学び / 協働的な学び / 授業力向上 / 学びモデル / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、先行研究をもとに開発した教育実践や研修プログラムの構築にとって指針となるような総合的な学習の時間(以降から「総合」)を担う教師に必要な資質・能力の具体についての構造表をもとに実施した、若手教師や教職志望学生対象の研修プログラムを通して浮かび上がった課題をもとに、研究を進めていった。本研究において、「総合」を担う教師に必要な資質・能力「カリキュラム・マネジメント力」「単元デザイン力」「課題設定力」「環境デザイン力」「状況把握力」「評価力」が必要であることを導出しているが、研修プログラムを通して、若手教師や教職志望学生は、「評価力」の獲得にあまり目が向いていないことが明らかになり、「総合」の実践を積んだ年数や研修機会の差によって、意識し獲得する資質・能力にも段差があるのではないかと示唆された。「評価力」に目が向いていないということは、「総合」において目指す学びの姿が具体化できていないということであり、教師が「総合」の取組を充実させていくための方向性を見いだす際の障壁になると考えた。 そこで、これまでの「総合」を巡る議論や近年の学習論の知見をふまえ、「総合」で目指す「深い学び」の定義付けを試みた。その中で、他者の存在や「協働」が「深い学び」の成立条件であることを導出した。さらに理論的検討が日本の教育の現実から乖離しては実践の指針とはなり得ないと考え、「総合」の先進実的実践の中でどのような学びのあり方や子どもの姿が目指されてきたのか、検討を行った。「総合」における「深い学び」は、「協働的な学び」の質を高めることによって生み出されることが明らかになったため、その質をとらえる視点や方法、目指す学びを具現化するまでの段階についての分析・整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、主に、以下のことに取り組むことができていることを理由とする。 ・総合的な学習の時間を担う教師に必要な資質・能力の具体化と、その構造表の開発と提案をし、論文を投稿したり、日本生活科・総合的学習教育学会において提案したりしていること。 ・総合的な学習の時間における「深い学び」についての定義付けと目指す学びのモデルの開発をし、論文投稿中であり、令和4年度に日本生活科・総合的学習教育学会で発表予定であること。 ・総合的な学習の時間の学びの質をとらえる視点や方法(とらえ方ツール)の吟味をしており、論文作成中であること。 ・研究協力教育機関(やまぐち総合教育支援センター)との共同による教科等の見方・考え方を働かせて深い学びを実現する授業づくりのための研修モジュールの開発をしたり、研究協力校(附属小学校)との総合的な学習の時間の授業力向上プログラムの共同開発とそのプログラムの実施をしたりしていること。また、研究協力校(附属小学校)との取組については、令和4年度に論文掲載予定であること。 等
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Strategy for Future Research Activity |
総合的な学習の時間(以降,「総合」)における目指す学びモデルをもとに、学びの質をとらえる視点や方法(とらえ方ツール)を、研究協力校(附属小学校の予定)における授業研究や授業リフレクションで活用し、授業者である教師だけでなく、授業リフレクションに参加した教師の授業づくりに対する意識の変化や子どもの姿の変容等をもとに評価し、より教育現場において活用できるものに改良していく。 本研究において開発しようとしている「授業力評価指標」は、子どもの姿をもとにした学びモデルに近づくことを目指していくための視点や方法、目指す学びモデルに向かうまでの段階を子どもの姿(子どもが活用する具体的な資質・能力や談話等)として示していくものである。そのため、授業力で不足している部分を顕在化させ、その自覚を教師に促すチェックリストのようなものではなく、これからの取組に向けての方向性を見いだすことができ、授業づくり・授業改善の原動力となる教師の学びに向かう力を支援する授業分析やリフレクションとするために活用することを企図している。「総合」の授業づくりに対する不安感や負担感を抱く教師を減らし、充実した「総合」を創り出す期待感が増すような指標を開発していきたい。 研究協力校における取組で改良を加えた学びの質をとらえる視点や方法、学びモデル,指標等を、若手教師だけでなく、異なるキャリアステージ段階の教師、多様なキャリアステージ対象の研修プログラム等にも活用していく方向性を探っていきたい。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、新型コロナ感染症により各種学会や研究会がオンライン開催となり、旅費が発生しなかった。また、研究協力機関や研究協力校との研究に関わる協議などもオンラインで行わざるを得ない状況が続き、旅費が発生しなかった。令和3年度の残額は、令和4年度においては、研究協力校に年間を通して調査に入る予定であり、そのための往復旅費やデータ収集・分析の謝金として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)