2021 Fiscal Year Research-status Report
マルチメディアとALによる数学の深い学びへの誘いとその効果の検証
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21K02765
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
酒井 道宏 久留米工業高等専門学校, 一般科目(理科系), 教授 (90353276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 利史 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (60396851)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | STEAM教育 / アクティブラーニング / トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
学科横断科目「リベラルアーツ特論」受講生に対し、STEAM教育における工学(E)と数学(M)の関連性に着目した学習活動を実践し、自ら課題を見つける力、物事を様々な面から捉え解決する力、新しい価値を創造する力の修得を目指す。工学分野と親和性の高い数学分野であるトポロジーの中で、L-S理論、結び目理論、位相的データ解析などを学習テーマに選定し、学習ピラミッドに沿った段階的な理解の深化を促した。前期は、マルチメディア教材を用いた学習及び興味を持ったテーマに関する発表を行った。後期は、テーマ毎にグループを作って協同学習を行い、教員による指導の下で主体的・能動的な学習を行った。 結び目理論と位相的データ解析については、第27回高専シンポジウムで受講生が成果発表を行い、視聴者から高い評価を得た。テーマ毎の研究成果は以下の通りである。 【L-S理論】マルチメディア教材を活用した学習によって、可縮の概念や長方形から浮き輪、及び長方形からクラインの壷への連続的変形の視覚的な理解の定着に成功した。 【結び目理論】マルチメディア教材を活用した学習によって、結び目の分類の理解と計算方法の習得を促した。次に、合同式から誘導される結び目不変量のp-彩色数を用いて、タンパク質のYibk、 AHAIR、UCH-L3から得られる結び目のp-彩色数の計算を行い、結び目理論の観点からこれらの相違点を解明した。 【位相的データ解析】マルチメディア教材を活用した学習によって、位相的データ解析の理解と計算方法の習得を促した。次に、位相的データ解析ソフトウェアのHomCloudを用いて、炭素の同素体であるダイヤモンド、グラファイト、フラーレンのパーシステントホモロジーの計算を行い、これらの分子構造のデータ分析に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
L-S理論では、マルチメディア教材を活用することで効率的・視覚的に理解を促すことに成功したが、グループ分けの際に希望者が少なかったこともあり、浮き輪のL-Sカテゴリ数の計算には至らなかった。 結び目理論では、生物・化学分野を専門的に扱う学科の学生らでグループを作り、協同学習を通してp-彩色数の計算によるタンパク質の研究をテーマに選定した。さらに、第27回高専シンポジウムで上述の3つのタンパク質の相違点について成果発表を行った。位相的データ解析では、電気、制御系の学生らでグループを作り、ソフトウェアを用いて炭素の同素体のデータ解析に成功した。さらに、その分析結果について第27回高専シンポジウムで成果発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に引き続き、前期にマルチメディア教材を作成・活用することによって効率的・視覚的な理解を促進し、Teamsによる授業の録画データを活用することによって予習・復習などの学習効果を高める環境を整備する。後期はテーマ毎にグループを作って協同学習を行い、教員による指導の下で主体的・能動的な学習を行う。さらに、そこで得られた学習成果について、シンポジウム等での発表に導く。 L-S理論では、授業内容を増やして興味や関心の喚起に努めるとともに、前期の段階で演習課題を与えて理解の定着を図るなどの工夫をする。理解の定着を確認した後に、長方形から浮き輪への連続関数の中でその像が可縮となるものを作成し、浮き輪やクラインの壺のL-Sカテゴリ数の計算に取り組む。 結び目理論では、2021年度にp-彩色数を用いて3つのタンパク質の結び目としての性質を解明できたため、研究対象を別のタンパク質に拡大する。また、行列を用いた結び目の分類方法との結果の比較を行う。さらに、Jones多項式のような分類能力の高い結び目不変量を用いて高分子化合物、分子ナノカーボン、及びDNA等から得られる結び目の性質を解明する。 位相的データ解析では、炭素の同素体のようにデータが一般に公開されていることはそれほど多くなく、パーシステントホモロジーの計算ソフトウェアHomCloudにバグもあるため、この方法には限界がある。そこで、研究対象を絞らずに済むように前期の段階でホモロジー群の直接的な計算方法を授業で扱い、演習課題を与えてホモロジー群の理解と計算力の習得を図る。次に、直接的なホモロジーの計算による炭素の同素体の解析を行い、HomCloudによる解析結果と比較する。さらに、カーボンナノチューブ等の分子構造のデータ解析に挑戦する。
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Causes of Carryover |
物品費については半導体不足による発売スケジュールの大幅な遅延によるもの、旅費については、フィンランドで開催予定だった国際工学教育シンポジウムのISATE2021がコロナ禍の影響のためオンライン開催となったことによるものである。物品については今年度早期に購入する予定であり、旅費についてはシンガポールで開催されるISATE2022で使用する予定であり、既にアブストラクトの承認により発表の許可を得ている。
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Research Products
(9 results)