2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of gender-inclusive learning material for computer programming
Project/Area Number |
21K02790
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
有賀 妙子 同志社女子大学, 学芸学部, 特任教授 (70351286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 智子 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (60329977)
真下 武久 成安造形大学, 芸術学部, 准教授 (10513682)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | プログラミング学習 / データ視覚化 / ジェンダーインクルージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
プログラミング学習に関係する事柄への興味には男女で差が存在する。そのような状況を是正するジェンダーインクルーシブなプログラミング学習教材を開発する課題に取り組んでいる。電子制御やロボットなど男子の分野とされてきた題材とは別に、男女ともに興味をもって学べる教材を開発する。 学習者が積極的に課題に取り組める教材の要素として、次のような点があげられる、(1)学ぶ必要性が実感できる、(2)自分や社会に役立つ、(3)デザイン力や創造性が発揮できる。これらを念頭に検討し、データを視覚化し、動的あるいはインタラクティブに表現して伝えるプログラムを題材とすることとした。 大学においてデータサイエンス教育強化の取り組みがなされている。その学びで得たデータを対象とすることも視野に、データを画面上で従来と違う視点で「見られる,触れるものとする」、つまり「データの視覚化」を行うプログラムを中心に、教材を開発する。これは、女子も男子もともに関心のもてる内容であり、さらに理系や文系の専門性に関わらない、ジェンダーインクルーシブなプログラミング教材と考える。 プログラミング環境としては,グラフィック描画用関数群の充実、Webブラウザ上で直ちに結果を見られ、発信できる点を考慮し,Processing (Processing Foundation)を元に開発されたJavaScriptのライブラリp5.jsを採用することとした。 高度で美しいデータの視覚化は、プログラム学習意欲を高める一つの要素となるが、実現には基礎的学習の範疇を超える部分もある。そこで、データ視覚化に必要な各処理プロセスを助けるライブラリの開発を進めている。これにより自分の専門に関わる部分に集中してプログラム作成を学べる。 この考えに基づき、データ視覚化を題材とした、プログラミング学習のためのWeb教材のプロトタイプの一部を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)具体的な題材の基本方針を決定した--ジェンダーインクルーシブなプログラミング教材として、データ視覚化という大きな方針を決定できた。自分の収集したデータやさまざまな組織が公表しているデータを感性に訴えるユニークな手法で表現する学習の題材は、学習者がどのような分野に興味を持っていたとしても,プログラミングを学ぶ意欲へと繋がる。さらに、作成したプログラムをWebコンテンツとして容易に公開できれば、達成感のある教材となる。 (2)学習のためのプログラミング環境を決定した--PCとネットワーク接続があれば、特別なソフトウェアや機材が不要で、多様な教育現場での適用が可能となる環境を考慮した。 (3)データ視覚化のためのライブラリの基本設計を終えた--開発するライブラリでは、ファイル入出力、読み込んだデータの解析、データの正規化、データと描画オブジェクトとの連携、さらにはアニメーションの動きなど、処理プロセスごとに機能を提供する。学習者は必要に応じてそれらを選択して使用する。 (4)授業のためのWeb教材のプロトタイプを開発した--教材は大きく、(a)シンプルなデータ視覚化を学びながらプログラミングの基礎を学ぶラーニングトレイル、(b)JavaScriptの基本知識の説明、(c)p5.jsの基本関数の説明の3つの部分からなる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次のような方策で今後の研究を進める (1)欧米を中心にプログラミング教育に関する動向を調査する。特に、ジェンダーを考慮した教材研究に注目して調べる。 (2)データサイエンスにおけるデータ視覚化ならびにインフォグラフィックスに関する情報収集を行う。 (3)データ視覚化のためのライブラリの開発を進める。 (4)これまでに開発したWeb教材を、データ視覚化ライブラリの開発進捗に合わせて、内容を追加修正する。 (5)上記(3)(4)を使って、プログラミング教育を行い、それを受け、仕様、教材内容を検討する。その結果を元に、正式版Web教材へ向けて内容、構成、デザインを検討する。
|
Causes of Carryover |
備品(MacBook Pro) が想定より安く購入できたこと、また国内学会がオンラインとなり発表のための旅費の支出がなかったことが次年度使用額が生じた理由である。
書籍・資料を中心に、消耗品の購入に使用する計画である。
|
Remarks |
雑誌記事 吉田智子, 有賀妙子, 真下武久, ジェンダーインクルーシブなプログラミング教材の開発 -視覚化を通してデータを感じるプログラミング-, 情報処理, Vol.62, No.12, 667 - 671, 2021, doi/10.20729/00213743
|
Research Products
(2 results)