2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K03024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
明地 洋典 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (50723368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 由葵子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90600700)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム / 認知科学 / 行動科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の実験において、自閉スペクトラム者についても非自閉スペクトラム者についても大きな係留効果(anchoring effect)が確認された。この係留効果は、事前に呈示された値が基準(錨; anchor)となって後の判断に影響を及ぼすことを指す。昨年度の実験では、事前に大きな値、または、小さな値を示す条件間の比較を行い、基準を示さない場合と基準を示した場合の差は検討していなかった。今年度は、自閉スペクトラム者と非自閉スペクトラム者を対象に、昨年度と同じく石の課題(重さ判断)と星の課題(距離判断)を用いて、基準を示さない条件と基準として大きな値を示す条件を設け、両者の間の比較を行った。その結果、昨年度と同様に、自閉スペクトラム者においても、非自閉スペクトラム者においても、大きな係留効果が確認された。石の課題では、自閉スペクトラム者と非自閉スペクトラム者に同程度の係留効果が見られた。星の課題では、自閉スペクトラム者の方が非自閉スペクトラム者と比較して係留効果が小さい可能性が示唆された。しかし、星の課題において自閉スペクトラム者が見せた係留効果が小さいという傾向は、基準を示さなかった条件で非自閉スペクトラム者よりも大きな値を答えていたことによるものであったため、係留効果自体の大きさが両者の間で異なると結論づけることはできないかもしれない。また、どちらの課題においても、群間の差よりも個人差(群内のばらつき)の方が大きく、係留効果自体がかなり大きかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大による研究上の制限があったが、本課題については工夫によって想定していたような実験を実現することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
自閉スペクトラム特性が強みとして働き得る環境を探るという本研究課題の目的に適した実験条件の設定を行う。
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Causes of Carryover |
本年度の研究を進めるにあたり、研究費使用の必要が低かったため。 実験のための物品費、学会発表や研究打ち合わせのための旅費、実験謝金、学術誌投稿料、校閲費、通信費等に使用する予定である。
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