2021 Fiscal Year Research-status Report
Employing tablet devices to assist in designing and using young children developmental screening tests
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21K03082
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Research Institution | Heian Jogakuin (St. Agnes') College |
Principal Investigator |
清水 里美 平安女学院大学短期大学部, その他部局等, 教授 (80610526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷間 英世 姫路大学, 看護学部, 教授 (40234968)
船曳 康子 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80378744)
米澤 朋子 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90395161)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | タブレット / 発達スクリーニング検査 / 遠隔 / ストローク / 描画課題 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
タブレット版発達スクリーニング検査に採用する項目を選定し、プログラムを作成し、予備調査を実施した。さらに、予備調査の結果をもとにプログラムを改良し、本調査を開始した。 タブレット版の検査項目は、タブレットでの実施に適しており、1歳から7歳までの幅広い発達年齢に適用可能なものを選定した。具体的には、新版K式発達検査2020から「なぐり描き」「円錯画」「横線模倣」「縦線模倣」「円模写」「十字模写」「正方形模写」「三角形模写」「菱形模写」の9つの描画課題と「人物画(グッドイナフ)」を候補とした。 新版K式発達検査の2020年版は最新のものであるため、2001年版の標準化資料との比較をおこない、活用上の留意点について分析した。 タブレット上で刺激図と音声教示が提示されるプログラムを作成し、2歳から5歳までの幼児24名を対象に予備調査を実施した。予備調査では、幼児のタブレットの扱い、音声教示への反応、タッチペンでの描画等について行動観察をおこなった。予備調査の結果から、とくに4、5歳児は比較的容易に操作手順を学習できること、紙版の描画成績とタブレット上の描画成績に大きな差がないことが明らかとなり、学会にて発表した。また、タブレット版描画課題のWebアプリケーションの構築と描画データ取得システムについてはHI学会研究会にて発表した。 予備調査をもとにシステムを調整し、本調査を開始した。本調査では、タブレット版の描画検査に加えて、新版K式発達検査2020を実施している。2021年度は幼児35名のデータを収集することができた。取得したストロークデータについての検査経験者数名による独立の評価分析も開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は、タブレット版発達スクリーニング検査に採用する項目を選定し、Webアプリケーションの構築と描画データ取得システムを作成すること、および予備調査として、1歳6か月~5歳6か月児20名を対象に実施し、システムの調整をおこなうことであった。実際には、新版K式発達検査の描画課題を参照し、タブレット版の描画検査を作成し、2歳から5歳の幼児24名に予備調査を実施した。タブレット版と紙版の反応比較と行動観察結果、およびシステムの作成については、それぞれ学会発表をおこなった。 さらに、タブレット版の不具合を修正し、描画課題については当初の計画を前倒しして本調査を開始した。描画課題以外の項目選定、とくに1,2歳児向けのタブレット版課題の作成、およびシステム構築についてはさらに検討を重ねる予定である。 本調査では、新版K式発達検査2020の結果とタブレット版描画課題の取得データとの比較を行うことを計画しており、2021年度は4歳児、5歳児計35名のタブレット版描画反応と新版K式発達検査結果が得られた。さらに、タブレット版で得られたストロークデータについて、検査経験者による分析評価を開始しているところである。なお、2021年度は新型コロナウィルス感染防止の観点から、計画段階で予定していた1~3歳台の低年齢児への実施は取りやめ、4~5歳児への実施を中心におこなった。4,5歳児については十分な実施人数が確保でき、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き 幼児のタブレット版描画検査と新版K式発達検査2020の紙版の描画反応および全体の検査結果を基礎資料として収集する。2022年度は、幼児約100名のデータ収集を予定している。なお、2021年度に取りやめた低年齢児への実施については、今年度も新型コロナウィルスの感染拡大状況による影響を受けるおそれがある。とくに1~2歳児への実施は困難な状況も想定される。状況により、3歳以上の対象者を増やすなど、計画の修正を試みる予定である。 また、すでに作成した描画課題に加えて、人物完成のタブレット版も作成し、追加でデータ収集をおこなうことを検討している。このタブレット版の人物完成課題については、近畿大学医学部小児科学教室の森本助教チームとの共同研究として、新たに開始することを計画している。森本助教チームは「人物完成図に対して人工知能を用いた発達スクリーニングの開発」を計画しており、すでに「人物完成図に対する深層学習モデルを用いた発達年齢の推定」に関する研究を進めているところである。本研究の目的と重なる部分があるため、研究連携することで、お互いに有意義な結果が得られると考えられる。そこで、年度当初に人物完成課題のタブレット版webプログラムを追加作成し、紙版およびタブレット版における比較分析も進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染状況が落ち着かず、対面での打ち合わせの機会を最低限にしたことや学会がオンライン開催のため、旅費が発生しなかったことからである。また、予備調査や新版K式発達検査2020のデータ収集については機関からの研究協力が得られ、検査者への謝金をおさえることができたこともある。 今後の使用計画としては、Webアプリの開発と取得データ解析に当初の想定以上の時間がかかることが判明したため、作成補助の謝金として用いる予定である。また、近畿大学医学部小児科学教室の森本優一助教が進めていた人物完成課題の機械学習によるアセスメントを発展させた形で、共同研究として人物完成課題のストロークデータ解析を加えた新たなシステム開発を予定しているので、そちらにも使用する。
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Research Products
(13 results)