2021 Fiscal Year Research-status Report
Age-related difference of neural mechanisms underlying face memories in a social context
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21K03128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
月浦 崇 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (30344112)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顔 / 記憶 / 加齢 / 社会的文脈 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
表情や魅力など、ヒトの顔には多くの社会的情報が含まれており、それらの情報は他者との社会的関係の構築において重要な情報として利用されている。その一方で、そのような社会的文脈における顔の処理は、加齢や神経疾患などの脳の生物学的変化によって影響を受ける。本研究では、社会的文脈における顔の記憶とその脳内メカニズムが、加齢による脳の生物学的変化によってどのような影響を受けるのかについて、健常若年成人と健常高齢者を対象とした機能的磁気共鳴画像(fMRI)研究から解明することを目的とした。 当該年度の研究では、顔の魅力に関する期待とアウトカムの差分によって算出される顔の魅力の予測誤差が、顔の記憶の記銘とその神経メカニズムに対してどのような影響を与えるのかについて、健常若年成人を対象としたfMRI研究から検証した。その結果、腹側線条体の賦活は、顔の魅力の予測誤差がマイナスからプラスに増加することを反映して有意に増加しており、その領域の多変量賦活パターン(MVPA)によって、顔の魅力の予測誤差の情報が表象されていることが認められた。さらに、腹側線条体の活動と海馬の活動の間の機能的結合性は、顔の魅力の予測誤差がプラスであった場合に強まることも示された。 この研究成果は、2022年度初頭に開催される国際学会に採択され、発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において進めている社会的文脈における顔記憶とその加齢変化の基盤となる脳内メカニズムの解明について、当該年度の研究では健常若年成人を対象としたデータの取得は完了した一方で、健常高齢者を対象としたデータについては、まだ進められていない状況である。そのため、当初の予定から考慮すると、その進捗はやや遅れている状況であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、社会的文脈における顔記憶の基盤となる脳内メカニズムの加齢変化を解明するために、健常高齢者を対象とした予備実験をできるだけ早く開始するのと同時に、健常高齢者を対象としたデータの取得に向けて研究の進捗速度を上げていきたいと考えている。また、これまでに取得した健常若年成人を対象としたfMRIデータについては、予定されている国際学会での発表を終了した後に、できるだけ早く論文執筆を進め、国際誌への投稿と受理をめざしていきたい。
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Causes of Carryover |
2022年度の使用計画として、早い時期に実験に用いるためにAIによって作成された顔刺激を業者から購入し、顔を用いた研究を効率的に推進していく予定である。現在は業者から見積を取っている段階で、およそ100万円の額を要する予定である。また、昨年度に実施した健常若年成人を対象とした研究については、2022年に英文誌に投稿する予定であるため、そのための英文校正費用やオープンアクセス掲載費等の出版に関する費用の支出を予定している。
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Research Products
(1 results)