2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03284
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本多 尚文 北海道大学, 理学研究院, 教授 (00238817)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多重特殊化 / 多重超局所解析 / 漸近解析 / D加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、偏微分方程式系の多重強漸近展開可能解のより詳細な漸近挙動を解析する為にGevrey級の多重強漸近展開可能層を導入し、その性質を研究する。また、偏微分方程式系のGevrey級多重強漸近展開可能な解のなす層に対し順像定理や逆像定理を示すことで、異なる多重強漸近展開可能解の相互の関係を明らかにする。これらの結果を用いることで極大過剰決定系の多重強漸近展開可能解に関する存在定理等の基本的な性質を明らかにすることが目的である。 この目的を達成するには、基本的な道具である多重特殊化関手の理論の拡張と整備がまず必要である。実際、今までの理論では複数の部分多様体の配置にかなり強い条件を必要としていたが、本研究課題を実行するには、それを弱める必要があった。本年度は、Padova大学のLuca Prelliと伴にこの点に関して理論の整備と拡張をおこなった。特に、複数の部分多様体の配置が縮退している場合についての多重錘の幾何の特徴付けに成功した。この場合は、今までの幾つかの錘の交差によって幾何を記述する方法は用いることが出来ない。そこで、多様体に付随する或る種の単項式の生成する半群を準備し、この半群によって幾何的対象を記述した。この場合、記述された幾何が良い性質を持つかは自明のことではなくなり、研究が必要であった。最終的には、cohomology的に自明となる非常に良い性質を持った幾何が現れることを示す事が出来た。 漸近展開理論を展開するには、更に、このような集合上でのWhitney正則関数のコホモロジー消滅定理が必要であるが、その問題についても満足できる結果が得られた。 以上の結果については、現在Luca Prelliと論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定であればGevreyクラスの漸近展開を与えるようなWhiteney正則関数の類似物も構成予定であった。しかしながら、共同研究者であるPadova大のLuca Prelliとはコロナ禍のために直接の研究打ち合わせができず、また、両者伴にコロナ禍による授業等の準備が非常に重くなり十分な研究打ち合わせ時間をとることが出来なかった。以上が研究が遅延した主要な理由であり、これは現状ではどうにもならないと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後としては、まず、Gevreyクラスの漸近展開を与えるようなWhiteney正則関数の類似物およびその性質について研究する。この為には、Luca Prlli等の共同研究者との研究打ち合わせが必須である。コロナ禍の状況にもよるが、出来る限り対面での打ち合わせを試み、それが無理であれば良いオンラインツールを用いたオンラインによる打ち合わせを行う。しかしながら、オンラインでの研究打ち合わせには限界があり、この場合には研究の進捗は余り期待できないのではないかと思われるが、無理をせず着実に研究を一歩一歩進めることにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた研究打ち合わせおよび研究集会が中止もしくはオンラインとなり予定していた旅費等が使われなかったため次年度使用額が発生した。次年度の研究打ち合わせ、研究集会等の旅費で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)