2022 Fiscal Year Research-status Report
タリウム系トポロジカル絶縁体の薄膜化によるトポロジカル輸送現象の探究
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21K03434
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
瀬川 耕司 京都産業大学, 理学部, 教授 (20371297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / スパッタリング法 |
Outline of Annual Research Achievements |
タリウム系トポロジカル絶縁体 TlSbTe2 の薄膜をスパッタリング法で作製するため、高周波電源の並列化および成長時に油拡散ポンプに切り替える装置を構築してきたが、その成膜の最適化と輸送特性の測定を行った。室温スパッタ後にアニールする方式では Si 111 単結晶基板上に成膜した場合、30 nm 程度を超えると膜の質の低下が観測された。その範囲内で条件を最適化した膜で輸送特性を測定したが、移動度はバルクより小さいものにとどまり、また量子振動等も観測されなかった。トポロジカル絶縁体としての特徴を観測することは結果としてできていない。 次に、TlBiSe2 の薄膜用ターゲットを自作し、薄膜作製を開始した。これまでの結果から予測して、あらかじめ Tl と Bi の比をずらしてターゲットを作製した。はじめに、TlSbTe2 と同様に、室温でスパッタ成膜を行った後に200-300度程度でアニールする方法を試したがX線のピークが非常に弱い膜しか得られなかった。そこで通常の方法である成膜時の基板温度を上げる方法を試したところ、X線のピークがかなり鋭く観測された。この膜について、ICP-AES で組成分析を行ったところ、Biが過剰であることがわかったのでその結果を受けて新しいターゲットを作製し、新たな成膜に取り組んでいるところである。 また、TlBiSe2 で部分的にうまくいったこの方法を改めて TlSbTe2 に適用したが、やはり2ステップ法より良い膜はできないことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TlSbTe2 薄膜の品質向上はならなかったが、TlBiSe2 の薄膜作製は見通しが立ってきたので、S ドープも含めた薄膜作製が視野に入ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
TlBiSe2 薄膜の作製の見通しが立ってきたのでそれを推進し、さらに S ドープにまで踏み込んで輸送特性の測定を行う。
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Causes of Carryover |
この残額9,983円と同じか、これを下回る額で研究に必要となる物品購入の必要が当該年度内に生じなかったため。この残額は次年度にて適切に使用する予定である。
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