2022 Fiscal Year Research-status Report
空洞や金属物体を含む任意な地中構造によるイメージング情報からの特徴抽出への挑戦
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21K04239
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| Research Institution | Nihon University |
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Principal Investigator |
尾崎 亮介 日本大学, 理工学部, 准教授 (00453910)
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2021-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 変形空洞形状 / 差分情報 / 層状媒質構造系 / 不均質分布 / 周波数特性 / 金属散乱体 / 誘電体層 / 散乱解析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度における研究実績の概要は，次の通りである．
[1]不均質な空洞形状を含む多層構造の散乱解析
本年度は，昨年度に開発した手法を利用して任意な空洞形状を検討する初期段階として，不均質に傾斜された空洞構造に対しては電界と磁界成分を組み合わせた反射応答の差分情報により，ある程度の空洞サイズを推定できる見通しを得られた．特に傾斜した空洞構造を変形した形状である左右対称の空洞構造に適用した場合には，電界と磁界成分を組み合わせた反射波形の差分情報からは，空洞構造の影響を特定するため，位相と振幅情報が全観測時間において困難である事がわかった．この事を踏まえ電界成分(又は磁界成分)のみによる応答波形の差分情報から，変形された左右対称の空洞構造に対して，ある観測時間での振幅差に対称空洞形状の効果が現れる事を明らかにした．なお本構造の解析には昨年度開発した多層分割法を併用した方法で空洞構造の大きさを変化させると，解析精度を保持できなくなる難点があった．この事を解決するべく空洞形状を変形した任意構造に対応できるような新たな数値解析手法の開発にも着手し，初期検討として不均質分布を含む均質多層構造中に適用した場合でも，精度よく解析できることを明らかにした．
[2]複数の金属物体を含む構造による散乱解析とイメージング解析
昨年度開発した定式化に基づいて，任意なパルス波(高次入射波)を入射できるように計算コードを開発し，過渡散乱問題による解析結果(反射応答)から金属物体(完全導体)の効果を検討し，高次入射パルスの場合，通常の入射パルス波(1次波)よりも応答振幅は全体的に小さくなってしまい，直接的に媒質の影響を受けやすいことを明らかにした．さらに金属物体の特徴抽出を行うための特性を把握するため基本的な平面格子構造間に無損失な誘電体層を装荷した場合の周波数特性を基に，精度良く解析できる事を検証した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題「空洞や金属物体を含む任意な地中構造によるイメージング情報からの特徴抽出」の現在までの進捗状況は次の通りである．
令和4年度は，昨年度開発した空洞または金属物体を含む任意な構造を解析するための数学的解析理論のコードをベースに，イメージング解析を見据えたコードに改良しながら，基本的な空洞構造や金属物体を含む構造を精度よく解析できるよう準備した．空洞を含む構造については反射電界・反射磁界成分の情報からある程度，空洞形状の特徴が特定の観測時間に現れる知見を得られたので，山間部の地域などを模擬した構造を表現するため，傾斜空洞と媒質が配列している構造の時間応答解析を行い，傾斜された空洞の波形情報から特徴を得ることができた．本成果を任意構造へ応用するため，まずは左右対称の空洞構造に適用する事で電磁界いずれかの情報を利用でき，振幅情報として空洞形状の特徴が得られた．
金属物体を含む構造に対しては，高次入射波による金属散乱体の特徴抽出と波形情報への効果を検出するため散乱解析から検討を行った．結果として高次入射に対する応答は分散性による損失の影響を強く現れる事を明らかにした．また地雷の模擬構造として導体長が同じ金属物体の場合，反射電界と磁界成分による応答は，かなり類似した傾向となるが差分情報を利用する事で特定の時間から差異が生じている事がわかった．
更なる検討を行うため基本的なイメージング解析の精度を確認し，高次入射の場合，損失の影響を強く受ける事から平行に配置した導体間に均質誘電体層を含む構造で周波数特性解析を行い，その結果に基づいてイメージング解析から，解析精度および導体長の検出可能性を検証した．結果としてイメージング解析より検出できる準備が整った．一部研究計画を変更したための遅れはあるものの，以上の研究成果からおおむね順調に研究が進展したものと判断する．
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| Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に実施した研究課題のより詳細な検証を行い，得られた研究成果に基づいて形状の推定および特徴抽出を検討する．具体的な今後の研究の推進方策は以下の通りである．[1]基本的な空洞構造によるイメージング解析と任意形状を構成するためコードを開発：令和4年度に続いて波形情報からのどこまでの特徴が抽出できるかを試みながら同時に基本的な空洞構造によるイメージング解析を行い形状の推定や特徴抽出に挑戦する．また同時進行で令和4年度の検討中に発見した空洞構造の大きさを変化させることによる解析精度に不安定な現象が生じる原因を解決するべく，令和4年度に開発した手法を分散性媒質へ適用し，改良したコードを用いて任意形状を構成し，安定かつ精度良く解析できるコードを開発する．[2]単体または複数の金属物体が存在する散乱特性に基づいたイメージング解析：令和4年度に引き続き，単体または複数の金属物体が存在する場合の散乱特性を解析し，応答波形から形状推定や特徴の検出方法に挑戦する．具体的には基本的な構造においては，イメージング解析の準備が整っているので，まずは単体の金属物体に適用しイメージング解析結果から金属物体の影響について検証する．その成果に基づいて，平行に金属物体が存在する構造に適用し，解析精度などを確認しながらイメージング解析情報から特徴抽出および形状の推定法について検証する．
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| Causes of Carryover |
令和4年度の研究計画では，令和3年度に開発した手法を適用しその解析精度や数学的解析理論の有効性を検証し，電磁波散乱解析および基礎的なイメージング情報の解析を進めることにしていた．イメージング解析用としてパーソナルコンピュータの購入を計上したが研究途中で解析条件や精度などの問題点に遭遇し，基本的な問題へ戻っての問題解決に予想以上に時間を費やした．しかしながら検討している研究経過で新たな別視点からの考察や知見を得ることができたため，その成果として令和5年度に開催が予定されている国際会議URSI総会(URSI General Assembly and Scientific Symposium)で依頼された研究成果を発表する招待講演および研究動向調査の出張旅費や研究成果をまとめるための論文執筆掲載費などに充てる．
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Research Products
(11 results)
