2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on a new toughness improvement method for reinforced concrete piers
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21K04247
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Research Institution | Research and Development Center, Nippon Koei Co., Ltd. |
Principal Investigator |
輿石 正己 日本工営株式会社中央研究所, 中央研究所, 研究員 (70809318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 宏樹 九州大学, 工学研究院, 助教 (20509632)
園田 佳巨 九州大学, 工学研究院, 教授 (40304737)
浜田 秀則 九州大学, 工学研究院, 教授 (70344314)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国土強靭化 / 高靭性橋脚 / Pre-Deform技術 / 軸方向鉄筋の座屈防止 / 2段階釣合い式 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究成果の具体的内容 2021年度の研究成果として、最初に石橋、中村等らによる7件の文献調査を実施した。これらの文献により、RC橋脚では軸方向鉄筋が座屈することで耐力を失うこと、橋脚の変形量には鉄筋の抜出しによる影響が含まれていること等を確認した。次に、HTP橋脚試験体におけるPre-Deform鉄筋の曲率半径および中心角度を検討し、水平変位40δy(187.2mm)時におけるR形状は、r=1955.2,θ=11.5°であることを突き止めた。さらに、この時の冷間加工における軸方向鉄筋のひずみは0.65%であり、ひずみ硬化域(1.5%程度)の手前であることを確認した。次いで、RC試験体の設計・製作を行った。RC橋脚では断面をD=350、b=300、せん断スパン長を1,600、せん断スパン比を5.16と定め、破壊形式は曲げ破壊型とした。また、実験時における鉛直荷重はσn=2.0MPaとし、曲げ耐力はMu=139.8kNm、曲げ破壊時の変形量はμ=10.0程度に設定した。一方、HTP試験体は、基部をR形状に拡大し、塑性ヒンジ中央部の断面をD=389、b=300とし、破壊形式はRC橋脚と同様に曲げ破壊型とした。また、曲げ耐力はMu=161.1kNm、曲げ破壊時の変形量はμ=30.0程度に設定した。最後に、HTP工法を「塑性ヒンジ部分の軸方向鉄筋に簡単な加工を施すだけで他の部材を用いることなく目的の靭性率を達成できる工法」として特許出願を行った。 2.研究成果の意義および重要性 本研究の目的である「RC橋脚の塑性ヒンジ部における軸方向鉄筋を予め内向きにR加工することにより座屈防止を図り、靭性率を従来の3~4倍程度に向上させる」を達成するための必須項目に関する成果が得られている。さらに、2021年度の集大成として行った特許出願により技術展開を図り、国土強靭化に貢献できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度では、1.RC橋脚の靭性に関する文献調査、2.HTP橋脚におけるPre-Deform鉄筋の形状、ひずみ硬化の影響検討、3.上記の2項目に基づくRC橋脚およびHTP橋脚の実験試験体の設計・製作、4.HTP橋脚の特許出願、5.RC橋脚及びHDP橋脚の正負交番載荷実験(2体)の5項目を実施する予定であった。 実績としては、上記の5項目の内、RC橋脚及びHDP橋脚の正負交番載荷実験(2体)を除く4項目を実施ずみであり、概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
1.RC橋脚及びHDP橋脚の正負交番載荷実験(2体)を実施し両者を比較検討し、HDP橋脚が設計者の定めた設計靭性率を確保できるか否かを確認する。 1)RC試験体の実験方法:第1に試験体をセットした後、正負方向へ0.3δyずつ載荷し試験体の応答を確認する。第2に正方向へ1.0δy載荷し、ひずみゲージにより基部の鉄筋が降伏したことを確認した後に、負方向へ-1.0δy載荷する。第3に海洋型地震(タイプⅠ)を対象として、1.0δy~-1.0δyの変位で3回繰返し載荷を実施する。第4に、変位を2.0δy~-2.0δyの変位で3回繰返し載荷を実施する。第5に水平力Pyが1回目の繰返し時のPyの80%(0.8Py)に達するまで、3回繰返し載荷を実施する。第6に水平力が0.8Py以下となった時点で、次の変位に対しては1回繰返し載荷(直下型地震:タイプⅠ)を実施する。第7に水平力が0.5δyを下回った段階で試験を終了する。 2)HTP試験体の実験方法:第5以外はRC試験体と同様に実施する。第5は3段階で実施する。1段階:10δy~-10δyの変位まで、1δy刻みでそれぞれ3回繰返し載荷する。2段階:20δy~-20δyの変位まで、1δy刻みでそれぞれ1回繰返し載荷する。3段階:40δy~-40δyの変位まで、2δy刻みでそれぞれ1回繰返し載荷する。 2.RC橋脚の正負交番載荷実験を非線形FEM解析によりシュミレートし、解析定数のマッチングを行う。その後、解析定数の妥当性を確認しHTP橋脚の非線形FEM解析を実施する。次にR形状を変化させたパラメトリック解析によりHDP工法の適用範囲を検討する。 3.一方向にR加工した実験試験体において、軸方向鉄筋が面外方向の座屈した場合には、その対応法を非線形FEM解析を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
1.次年度使用額が生じた理由:2021年度では、1,RC橋脚の靭性に関する文献調査、2.HTP橋脚におけるPre-Deform鉄筋の形状、ひずみ硬化の影響検討、3.上記の2項目に基づく、RC橋脚およびHTP橋脚の実験試験体の設計・製作、4.HTP橋脚の特許出願、5.RC橋脚及びHDP橋脚の正負交番載荷実験(2体)、の5項目を実施する予定であった。しかしながら、コロナ禍の影響により、RC橋脚およびHTP橋脚の正負交番載荷実験が、2022年度へ移行したため、当初予定していたResearch Assistant(大学院生)への謝金が未払いになっていること、並びに対面打合せに必要な出張回数が減少したことにより、次年度使用額\195,329が生じた。 2.次年度の使用計画:2022年度には、RC橋脚及びHDP橋脚の正負交番載荷実験(2体)並びに非線形FEM解析によるシュミレーションを実施する予定であり、その際Research Assistant(大学院生)へ謝金(\140,000)を支払う予定である。また、実験および解析に関する打合せを対面で実施する際の交通費(\55,329)として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)