2021 Fiscal Year Research-status Report
AIと数値シミュレーションを統合した塩害環境予測技術の開発
Project/Area Number |
21K04335
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
崎原 康平 琉球大学, 工学部, 准教授 (20647242)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 塩害 / 飛来塩分 / 機械学習 / 環境作用 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,2020年度までに実測した飛来塩分データを基に,WEB上で取得できる環境情報を用いて機械学習による飛来塩分予測を行っている。その結果,予測値は実測値の傾向を捉えることが確認された。また,適切な特徴量(説明変数)を入力データとして選定することで,予測精度を低下させることなく,飛来塩分予測に影響を及ぼす特徴量を整理することができた。 機械学習はデータの性質にあった手法を選定することで,その予測精度の向上が期待できるが,2020年度までの検討では沖縄および新潟の限定された2地域のみであり,機械学習も2つの手法(Random Forest,LightGBM)のみの適用であったため,様々な機械学習法による検討はできていなかった。 そこで2021年度は,日本各地(北海道,新潟,石川,和歌山,沖縄)で観測された飛来塩分データと各種環境情報からPythonのオープンソースであるPyCaretを用いて複数の機械学習による飛来塩分予測を実施した。 その結果,本研究で使用したデータの範囲では,アンサンブル学習の1つであるバギングの方が,同じくアンサンブル学習の1つであるブースティングより予測精度は高いことが確認された。また,重回帰分析と比較して,バギングをベースとした予測モデルは汎化性能が高いことがわかった。さらに,既往研究における環境情報中の風速や波高については,アメダス等の公開されているデータを使用していたが,2021年度の研究においては,数値シミュレーションを用いて求めた風速や波高を機械学習の入力データとして使用することで,予測精度を向上させることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
沖縄県の飛来塩分については,継続して毎月回収を行っている。また,異なる地域の飛来塩分の収集においては,北海道の新たな地域に薄板モルタルおよび風向風速計を設置し,2022年の夏頃に回収予定である。 また,気象や波浪の各観測所から遠い地域の塩害環境評価方法として,一般公開されている気象計算オープンソースプログラムWRFおよびSWANの計算を進めており,その計算結果を機械学習の入力データとした検討を実施している。 以上のことから,本研究の進捗状況については,おおむね順調に進展していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度では,全国で観測された飛来塩分データと公開されている風況(風向,風速など)や波浪(波高,周期など)等の,飛来塩分に影響を与えていると考えられる各種環境情報から,機械学習を用いて飛来塩分の予測を行っている。しかし,これらは全て地域のマクロな塩害環境評価であり,飛来塩分が実構造物の各構造部材に付着する飛来塩分の評価,すなわち,ミクロな塩害環境評価は行えていない。 そこで2022年度は,沿岸域に設置された鉄筋コンクリート構造物を対象に,その構造物の柱や梁などの各構造部材に薄板モルタル供試体を設置し,付着する塩分量について検討を行う。また,観測された付着塩分量について周辺環境(風況や立地,部材配置等)が与える影響について検討を行う。さらに,風況の数値シミュレーションを実施し,構造物周辺の風況と付着塩分量の関係について考察を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
2021年度の直接経費において,新型コロナ拡大の影響で予定していた出張がキャンセルとなったため,40.204円の残金が残った。この残金は無理せず2022年度の旅費または物品購入へ有効利用する。
|
Research Products
(7 results)