2022 Fiscal Year Research-status Report
バナジン酸塩ガラスによる金属空気二次電池用の新規触媒の開発
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21K04780
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
岡 伸人 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (80570209)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空気極触媒 / バナジン酸塩ガラス / 金属空気電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、希少金属である希土類元素を使用せず、さらに特定の結晶構造を必要としない「ガラス」により新しい触媒材料を創出する。バナジン酸塩ガラス (例えば 20BaO・10Fe2O3・70V2O5) は適切な熱処理により電気伝導性を有するため、電極材料として使用する際に導電助剤を必要としない。さらにガラスの特徴として、骨格中に適切な触媒元素[3dブロック元素(NiやMnなど)] を均一に配置できると考えられるため、電極反応をスムーズに進行させることができると考えられる。 前年度より引き続き、Co3O4を添加したバナジン酸塩ガラス空気極触媒を開発している。前年度はCo3O4の添加割合を検討し、空気極触媒能を最大化するCo3O4添加割合は 5 mol% であることがわかった。そこで今年度はCo3O4添加割合を 5 mol% に固定し、主成分であるV2O5とBaOの組成比を調整し、空気極触媒能の最大化を目指した (xBaO・5Co3O4・5Fe2O3・(90-x)V2O5 [x = 25~10])。その結果、20BaO・5Co3O4・5Fe2O3・70V2O5ガラスが最も優れた空気極触媒能を発現した。一般に酸化物ガラスではガラス骨格を形成する網目形成成分 (network former; NWF) と、その隙間に存在する網目修飾成分 (network modifier; NWM) が存在する。イオン結合性の強い酸化物であるNWMは、共有結合性が強いNWFの結合を切断する役割を持つ。バナジン酸塩ガラスにおいてV2O5はNWF、BaOはNWMの役割を果たす。NWM/NWFの割合が、酸素還元能 (放電) および酸素発生能 (充電) に影響を及ぼしたものと考えられる。今後、考察を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に最も高い空気極触媒能を示したCo3O4を5 mol%添加したバナジン酸塩ガラス空気極触媒に注目した。ガラスを形成する主成分であるV2O5 (網目形成成分 (network former; NWF)) やBaO (隙間に存在する網目修飾成分 (network modifier; NWM))の組成比を様々検討し、空気極触媒としての性能を向上させることに成功した。研究はおおむね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したガラス空気極触媒をベースに、より優れた性能を有する新たな空気極触媒を開発する。さらに合成条件・熱処理条件とガラス表面の電子状態との関係、もしくはガラス表面の電子状態と空気極触媒の性能との関係についても詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由はコロナ禍で予定していた研究成果の報告 (国際会議発表) が行えなかったため。研究成果の報告 (国際会議発表) や追加の物品購入をするため、次年度予算と合わせて使用する。
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