2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular Science of Methanol Synthesis by CO2 Hydrogenation using Zirconia-Based Catalysts
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21K04988
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
城塚 達也 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (70823003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 昌平 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (60769941)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / 触媒 / CO2 / 第一原理計算 / 表面 / 界面 / 水素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は分子科学の立場から実験家(研究分担者:茨城大学多田昌平助教)と連携してジルコニア系触媒を用いたCO2水素化によるメタノール合成の触媒反応機構を第一原理計算により解明することである。本研究では、①ヒドロキシ基②表面アモルファス性③金属クラスターの3要素に着目することで吸着から始まる一連の化学反応の理解に、理論と実験の両面から取り組む。得られた知見を基に、表面構造・結晶性・クラスター依存性などの分子科学を探求し、より高性能な触媒開発を目指す。2021年度には①ヒドロキシ基②表面アモルファス性に着手し以下のような成果が得られた。 ①ヒドロキシ基:正方晶・単斜晶系ジルコニア触媒結晶表面やその亜鉛との固溶体表面と水との界面を作成し分子動力学シミュレーションを実施した。シミュレーションの結果得られたヒドロキシ基を実験と比較すると比較的良い一致を示した。ヒドロキシ化された表面と結晶表面におけるCO2水素化の反応物と生成物の吸着は大きな変化が見られなかったため、今後は反応中間体の吸着や反応メカニズムも含めて検討を進める。 ②表面アモルファス性:アニーリングによりバルクジルコニアのアモルファス構造を作成した。動径分布関数などを実験と比較したところ良い一致を示したため、アモルファス表面を作成し、CO2水素化の反応物と生成物の吸着を調べたところアモルファス構造により吸着が弱まることが確認され、実験で観測されたアモルファスジルコニアによるメタノール選択性の向上を説明することに成功した。 ③金属クラスター:CO2水素化を目指したスピネル型酸化物(MgAl2O4)前駆体を水素化することによる銅ナノ粒子生成メカニズムをDFT計算により解明した。 上記のジルコニア系触媒に加えて、アモルファスシリカなどでも同様の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 正方晶系ジルコニア触媒結晶表面やその亜鉛との固溶体とその表面CO2水素化の反応物と生成物の吸着をDFT計算により検討し、実験結果を説明することに成功した。本成果をまとめた論文を実験との共著論文として現在投稿中である。 2. ヒドロキシ基と表面アモルファス性:アニーリングによりバルクジルコニアのアモルファス構造を作成した。動径分布関数などを実験と比較したところ良い一致を示した。続いて、アモルファス表面を作成し、CO2水素化の反応物と生成物の吸着を結晶表面と比較したところアモルファス構造により吸着が弱まることが確認され、実験で観測されたアモルファスジルコニアによるメタノール選択性の向上を説明することに成功した。現在本成果をまとめた論文を準備中である。 正方晶・単斜晶系ジルコニア触媒結晶表面やその亜鉛との固溶体表面と水との界面を作成し分子動力学シミュレーションを実施した。シミュレーションの結果得られたヒドロキシ基を実験と比較すると比較的良い一致を示した。 3. スピネル型Cu-doped MgAl2O4前駆体の還元により得られる銅ナノ粒子を用いてCO2水素化が実験で行われていたため、DFT計算により銅ナノ粒子の生成メカニズムを解明した。本成果をまとめた論文は現在印刷中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は触媒表面の作成や吸着反応を中心に解析を進めてきたが、今後は新規触媒の提案やCO2水素化の反応中間体の吸着や反応メカニズムも含めて検討を進める。特に、亜鉛ジルコニア触媒は高いメタノール選択性が良く知られているが、他の金属酸化物との固溶体に高いメタノール合成能力を持つ触媒が存在する可能性があるため検討する。 また、金属クラスターに関しては、これまでは銅ナノ粒子の生成メカニズムなどを中心に検討をしてきたが、今後はナノ粒子の大規模化のための計算手法の確立の後、表面反応の解析などに移行する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で出張を予定していた国内学会5回がオンライン開催となったため、申請者とその指導学生の旅費が使えず次年度使用額が生じた。2022年度は次年度使用額と合わせて学会参加とサーバー購入を検討する。
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Research Products
(11 results)