2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Video Imaging Based Colorimetry Using Digital Microscope and Its Application to Flow Analysis
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21K05127
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 秀治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (40207121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 政樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (10457319)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フロー分析 / フィードバック制御フローレイショメトリー / 動画撮影・測色法 / 表色値(色彩値) / フロー滴定 / RGB単位ベクトル / 内積 / デジタルマイクロスコープ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,高額な分光分析装置を必要としない簡便で汎用性の高い測色分析法を開発し,研究代表者が創案したフィードバック制御フローレイショメトリーや振幅変調多重化フロー分析法へと応用することを目的とする。本年度は,動画撮影デバイスの構築とVisual Basic .NETによるプログラムの開発を行い,フィードバック制御フローレイショメトリー (流量比の高速走査と自動制御に基づくフロー分析法) に応用した。同分析法では,総流量一定のもと,流量比を連続的に変化させつつ酸溶液と塩基溶液(いずれかに酸塩基指示薬を溶解)を合流させ,下流において流れの中の微小領域を動画撮影した。この画像データをコンピュータに取得し,OpenCVライブラリーを用いてRGB値を求め,さらにRGB単位ベクトル間の内積IP,色相,輝度へと変換した。これらの表色値が当量点レベルに達したとき流量比の走査方向を反転させるフィードバック制御により,効率化をはかった。IPに基づく当量点判定では,指示薬の色調が同じ時はIP = 1,異なるときはIP < 1となることを利用して変色を判定した。各種酸塩基を用いて基礎的検討を行ったのち,日本薬局方医薬品の酸塩基滴定(非水滴定を含む)に応用した。また,その成果をAnal. Sci.誌に公表した。さらなるハイスループット化をめざし,狭い範囲を高速走査する固定三角波制御も導入し,色調変化判定の指標としてのIP, 色相, 輝度の優劣について検討中である(本年5月の第82回分析化学討論会にて口頭発表予定)。デジタルマイクロスコープの画質をDirectShowライブラリによって制御するプログラムも開発した。各色の色素水溶液を用いての,表色値と色素濃度との関係,透過光測定と反射光測定の比較,背景色や白色LED位置の影響,分光測定による吸光度との関係などについて今後検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
デジタルマイクロスコープを用いる動画撮影・測色法のフィードバック制御フローレイショメトリーへの応用については,研究成果をAnal. Sci.誌に投稿し,掲載決定を経てオンライン公表の段階まで至っている。論文公表を急いだため学会発表が後回しになったが,2022年5月の第82回分析化学討論会で口頭発表の予定であり,研究は概ね順調に進展していると判断している。一方,表色値と物資濃度との関係,透過光測定と反射光測定の比較,背景色や白色LED位置の影響,分光測定による吸光度との関係などの基礎的検討については,研究はやや遅れている。これは,特注セルの完成に2か月を要したこと,DirectShowライブラリを導入したプログラムの開発に時間を要したこと,2021年12月頃からの新型コロナウイルス・オミクロン株の流行により研究協力者(卒論生)の入構制限がかけられたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
動画撮影・測色法のフローレイショメトリーへの応用については,現在遂行しているフィードバック制御と固定三角波制御を併用したハイスループット滴定の研究をさらに推進させる。指示薬変色を判定する指標として,有色間での変色に対してはRGB単位ベクトル間の内積が,有色・無色間での変色に対しては輝度が,それぞれ一番優れていることが明らかになってきている。今後は有色間でも色相環上の近い位置同士の場合(たとえば,赤と黄色)場合と,遠い場合(たとえば,青と黄色)での比較など,さらにデータを蓄積する(遠い位置同士では内積に加え色相も有効と予想される)。最終的には局方医薬品の定量へと応用する。表色値に関する基礎的検討では,システム構築とプログラム開発がほぼ完了したので,各色の色素水溶液を用いて,表色値と濃度との関係,透過光測定と反射光測定の比較,背景色や白色LED位置の影響,分光測定による吸光度との関係,色素混合系における表色値の加成性などを検討していく。表色値に加成性が成り立つならば,当初の予定通り,振幅変調多重化フロー分析法への発展も期待できる。さらに,万能指示薬を用いて,その表色値から水溶液のpHを簡便迅速に求める方法についても検討する。この目的のため,動画撮影・測色検出器と流通式pH電極・pHメーターを直列に配したフローシステムを構築する。また,画像データとpHデータの両方を取得解析できるよう,Visual Basic .NETプログラムを改変する。
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Causes of Carryover |
フロー式画像撮影装置2台として30万円を計上し,その大部分は日本製の高性能デジタルマイクロスコープの値段によるものであったが,別予算で購入した安価(約5万円)のデジタルマイクロスコープを流用することにより,計122,000円(部品の高精度XZステージを含む)で製作することができた。フィードバック制御フローレイショメトリーの研究については現有の設備備品を活用することができ,試薬を含め新たに購入する必要性まで至らなかった。表色値と物質濃度との関係についての基礎研究に関しては,プログラム開発に時間を要してしまった上,2021年12月からのオミクロン株の流行により研究協力者の卒論生の研究活動が十分に行えず本格的な実験にまで至らなかった。このため,試薬や器具類への出費に至らなかった(現有品で足りた)。これらの理由により,次年度使用額が生じた。 2022年度にはエチオピアからの国費外国人留学生を迎え,動画撮影・測色法による水溶液pHの簡便迅速測定を推進する予定である。この目的のために,流通式ガラス電極やpHメーターを購入し,研究を大いに発展させたい。
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Research Products
(3 results)