2023 Fiscal Year Annual Research Report
群生相化したサバクトビバッタの過酷な砂漠に対する適応戦略の解明
Project/Area Number |
21K05627
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
前野 浩太郎 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (70600112)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サバクトビバッタ / 相変異 / 群生相 / 対捕食者戦略 / 産卵 / サハラ砂漠 |
Outline of Annual Research Achievements |
サバクトビバッタの群生相幼虫は集団で移動する。野外調査中、食欲旺盛な個体は移動を続けるが、脱皮直前の個体は移動を止め、植物に留まる現象を観察した。詳しく調査したところ、脱皮中は共喰いされる危険が高まるが、食欲旺盛な個体と脱皮直前の個体が物理的に離れるため、共喰いが回避されていることがわかった。 日暮れ前に多くの個体が相対的に大きな植物に登って一夜を過ごすが、一部の幼虫はシェルターとして機能しない植物(入り組んだ構造を持たず、背丈1m以下)におり、これらの幼虫は宿り木とマッチした逃避行動を示せず、被食リスクが高まることが示唆された。この結果は、移動にはリスクが伴うものとして捉えることができた。 また、サハラ砂漠で野外調査を行った結果、多くのバッタの成虫は、夜間に集団産卵してることを以前、観察していた。しかし、一部のメスは産卵が遅れ、ほとんどの動物が活動を避ける日中の致死温度(50℃以上)に迫る地表で産卵することを観察した。高温下では多くの産卵中のメスは背中にオスが乗っており、サーモグラフィカメラを用いてバッタの体表を測定したところ、地表より低い体温を保っていることがわかった。実験的に固定したバッタを日向にさらし、体温をセンサーで直接測定したところ、シングルのメスの体温は高温になるが、ペアのメスは体温を低く保つことがわかった。これにより、メスの背中に乗っているオスが「日傘」のように機能し、高温状態を避けて産卵していると考えられた。バッタは生理的に高い高温耐性(約55℃)をもつことに加え、オスが「日傘」のように機能することで、ほとんどの動物が高温のため活動できない時間帯に産卵していることが示唆された。
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[Presentation] The use of Locust and Grasshopper for food and fodder as an option of locust management control strategy.2023
Author(s)
Ould Babah Ebbe, M.A., Jaavar, M-E-H., Courel, M.F., Querci, F. & Maeno, K.O.
Organizer
14th International congress of orthopterists. Merida, Yucatan, Mexico
Int'l Joint Research
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