2021 Fiscal Year Research-status Report
The study of the micro-geomorphology on the planktonic invertebrate larvae and settled juveniles
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21K05747
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 英樹 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 研究員 (80629791)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 浮遊幼生 / 無脊椎動物 / 微地形 / ナマコ / ミトコンドリアDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
海産無脊椎動物は移動能力の乏しい底生種が多く、発生初期に浮遊幼生期をもつ種の場合はこの時期の空間的な移動が個体群の形成維持に大きく影響するが、細かいスケールでの個体密度の分布の違いを本研究課題で特定することを目指す。研究実施初年度として、本年度は浮遊幼生と着底直後のマナマコの主に深度選択性と、波高との関係について調べた。京都府舞鶴湾に流入する伊佐津川河口から沖合に向かって測点を複数設定し、船外機船と開閉式プランクトンネットを使用して浮遊幼生の鉛直曳き採集を行った。また、河川水の影響を評価するため、測点付近の養殖筏に水温塩分計と電磁流速計を設置し、表層の水温塩分並びに表層と底層の流向流速の経時的データを回収した。着底直後のマナマコの深度分布について、着底板を水深別・波高(波当たり)の強さ別に設置し回収した。次年度の藻場の影響に関する調査のため、沿岸部で船外機船でアプローチできる場所を現地に赴き選定した。採集した浮遊幼生の種の同定を行うため、個体はエタノール固定または冷凍保存し、日本海中部(若狭湾)の近海に生息するナマコ類のDDBJに登録されたDNA配列データ、及びサンプルからDNAを抽出したのちにPCRで増幅しシーケンス解析を実施したDNA配列をMEGAX上のClustalWでアライメントした。種判別を実施できる領域の探索及び種特異的プライマー作成を検討し、ミトコンドリアDNAのCOI遺伝子の部分領域が種判別を行うのに十分な変異がみられるとわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は深度選択性と波高との関係について主に実施した。波高との関係について、過去の浮遊幼生密度データと風速や吹走距離との関連の解析を今後追加し、研究遂行を充実化させる。他方、舞鶴湾の全ての海岸線に沿った沿岸部を対象とした地形と生物分布の調査を既に実施できているため、2年目の予定であった藻場と地形の影響に関するデータの解析に利用できるものと思われる。また、種判別を行うための種特異的プライマーの作成は困難であったため、代替法として種の判別が可能となる制限酵素切断部位を探索し、これをミトコンドリアDNA上で特定できたため、この酵素を今後利用して種同定を行うことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
深度選択性について、日周変化の影響を明確にするため浮遊幼生の24時間採集をポンプ採集、または開閉式ネットを使って行う。また、本年度回収した深度別サンプルのソーティングを進めるとともに、塩分と流向流速データとの関係についての解析を進める。波高との関係についても、本年度のサンプルのソーティングを進める。藻場の浮遊幼生に対する影響について、沿岸部において現地調査を行う。地形との関係について、舞鶴湾の全ての海岸線に沿った生物調査の結果をもとに解析を進める。上記で得られた浮遊幼生サンプルについては種同定作業を順次進める。
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