2021 Fiscal Year Research-status Report
認可済みウイルスベクターを基盤とした感染防御-伝搬阻止マラリアワクチンの開発研究
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21K06559
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伊従 光洋 金沢大学, 薬学系, 准教授 (20608351)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マラリア / ワクチン / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
A. ウイルスベクターワクチンの構築:ウイルスベクターAについては初期型に加えてプロモーターを改変した新型2種のワクチン作製に成功した。哺乳細胞におけるin vitro発現解析試験の結果、新型の1種は他に比べて、遺伝子導入初期から強い抗原の発現が確認された。ウイルスベクターBの3種については作製済みであり、いずれも動物実験が可能な量を準備することができた。 B, C. ワクチンの免疫及び有効性の検証:従来の検証に用いていたBalb/cマウスに加え、非近交系のICRマウスでも初期型ワクチンの効果を評価した。Balb/cとICRのいずれの場合でも、組換えネズミマラリア原虫のチャレンジ感染試験に対して90%以上の感染防御効果が得られた。ワクチンによって感染防御したマウスでは症状が出現せず、全て生存した。同ワクチンを免疫したBalb/cマウスに赤血球期原虫を強制的に感染させハマダラカに伝搬しうるか調査したところ、全くオオシストが形成されなかった。一方、ワクチン非接種マウスでも同様に吸血させたところ、蚊一匹あたり平均100個以上のオオシストが形成された。すなわち、オオシスト形成抑制率は100%であり、強力な伝搬阻止効果が確認された。 D. 免疫応答解析:Balb/cとICRのいずれの場合でも最終免疫の30日後に50万倍以上の抗原特異的抗体価が誘導された。免疫後の抗体価を長期的にモニタリングしたところ、最終免疫の45日後に抗体価は100万倍以上とピークを迎え、その後、徐々に減少するものの210日後においても40万倍以上維持した。一方、対照群として使用したアデノウイルスを基盤とした従来型ワクチンの場合、いずれの時期においても上記ワクチン群の抗体価の40%程度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要の通り、当初予定していたウイルスベクターAを基盤とした3種、ならびに、ウイルスベクターBを基盤とした3種の計6種のワクチン作製に成功した。初期型ワクチンがMHCハプロタイプが混在する非近交系マウスにも有効であったことは成果と考えられる。伝搬阻止効果についても動物実験の段階ではあるが、100%伝搬阻止と過去のワクチンに比べても突出して高い効果があった。感染防御と伝搬阻止の両方に高いレベルで効果のあるワクチンは今まで報告がなく、大きな発見と考えられる。現在までの実験データをまとめ、論文投稿用にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初期型のワクチンの有効性に関しては論文にまとめることができたため、国際学術雑誌への投稿を目指す。 作製に成功したウイルスベクターAならびにBに関しては、有効性の検証を進め、結果の如何に関わらず論文にまとめられるよう準備する。免疫実験においては、マラリア原虫が最初に感染する肝臓におけるT細胞の活性化など、免疫応答評価を行う。
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Causes of Carryover |
タンパク質精製用に当初購入を予定していたクロマトグラフィーシステムの機能について、メーカーに詳細を伺ったところ、必要と思われる機能が不足していたため購入を保留した。翌年度において別会社で同様の機能を有する機器の購入を予定している。
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Research Products
(9 results)