2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K06869
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土本 大介 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70363348)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イノシン三リン酸 / 発達性およびてんかん性脳症 / 静止膜電位脱分極 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はITPA欠損マウスNeuro2a培養細胞を用い、オートファゴソーム、小胞体、ゴルジ体、の染色パターンをコントロール細胞と比較した。また同細胞の全抽出液を用いた二次元電気泳動後のゲル銀染色パターンをコントロール細胞と比較した。いずれも差を認めなかった。 ITPA欠損マウスNeuro2a細胞にヒトITPA発現ベクターもしくはコントロールベクターを導入したクローンを各々3クローン以上樹立した。これらの細胞を用いて膜電位評価を行ったところ、ITPA欠損マウス脳スライス神経細胞で観察された結果と同様の静止膜電位脱分極が観察された。このため今後はこれらの細胞を用いてITPA欠損が引き起こす影響を解析することとした。その比較をRNAseqで行うため、これらの細胞よりtotal RNAを調製した。 コントロール細胞と比較してITPA欠損マウスNeuro2a細胞特異的に細胞増殖抑制と細胞死誘導がかかる培養条件を検討し見出した。この培養条件を用いて、イノシン三リン酸産生経路を明らかにするためマウス遺伝子に対するshRNAのレンチウイルスベクターライブラリー感染実験を行い、細胞増殖抑制/細胞死をレスキューするshRNAのスクリーニングを開始した。最終的に残存細胞ゲノムDNAを解析して目的shRNAの標的遺伝子を確認する。 哺乳動物におけるイノシン三リン酸蓄積防止におけるNUDT16の寄与を確認するために、以前に作成したNudt16 欠損マウス(Nudt16 KO)と脳神経系特異的ITPA欠損マウスItpa-flox/Nes-Creマウスとの交配を開始し、Itpa-flox(F/+)/Nes-Cre(Tg)/Nudt16(-/-)マウスを得た。最終的にはItpa-flox(F/F)/Nes-Cre(Tg)/Nudt16(-/-)を作成、解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は概ね順調に進展した。ただし、2021年度に所属研究室の予想していなかった業務に追われたことで生じた研究課題進行の遅れがまだ取り戻せていない状況である。2022年度に続いて2023年度も研究課題に集中できる予定なので遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
ITPA欠損培養細胞を用いた研究については、現在進行中のshRNAライブラリーを用いたITPA欠損細胞をレスキューできるshRNAの探索を引き続き行う。細胞内でのITP生成に関わる酵素遺伝子を標的としたshRNAが見つかることを期待している。その酵素に対する阻害剤はITPA欠損症治療薬として期待できる。 ITPA欠損培養細胞由来RNAを用いたRNAseqも行う予定である。ITP蓄積が引き起こす静止膜電位脱分極などに関わる遺伝子の発見を期待する。その遺伝子は他のてんかん性脳症の発症に関わる可能性もある。RNAseq以外にもITPA欠損細胞を用いた静止膜電位脱分極の分子機構解明を目指す実験を予定している。 Itpa-flox(F/F)/Nes-Cre(Tg)/Nudt16(-/-)マウスの作成と解析を進める。Itpa-flox(F/F)/Nes-Cre(Tg)マウスと比較して生後3週間程度の寿命が更に短くなり、RNA中にイノシンが蓄積することが期待される。
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Causes of Carryover |
前年度からの繰り越しがあったことと、高額を予定していたRNAseq及びshRNAライブラリー実験サンプルDNAのNGS外注が外注先業者との連絡の遅れから実施が次年度になってしまったため。RNAseq及びDNAのNGSは新年度早期に実施予定。次年度請求助成金については予定通り使用予定である。
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Research Products
(1 results)