2022 Fiscal Year Research-status Report
マラリア原虫メロゾイト形成期のターゲトーム解析による赤血球侵入・感染機構の解明
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21K06986
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西 翔 三重大学, 医学系研究科, 助教 (50880051)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マラリア原虫 / ターゲトーム / メロゾイト / 侵入・感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ネズミマラリア原虫Plasmodium bergheiのメロゾイト形成期特異的転写因子AP2-M3について、GFP融合遺伝子発現株を作製し、その発現パターンを調べた。さらに、ChIP-seq解析により、AP2-M3の標的遺伝子を同定した。その中には、原虫内膜構造やロプトリーに関連する遺伝子が多く含まれていた。そして、標的遺伝子解析の結果を3種のメロゾイト形成期特異的転写因子AP2-M1、AP2-M2、AP2-M3の間で比較することで、メロゾイト形成期において、遺伝子発現がどのような順序で活性化されていくかの全体像を得ることができた。現在はこの結果をもとに、マラリア原虫のメロゾイト形態形成や宿主細胞侵入に関連する新規の遺伝子探索を行っており、いくつかの有力な候補遺伝子を発見している。これらについてはGFP融合遺伝子発現株を作製することで細胞内での局在を明確にするとともに、DiCre-loxPシステムを用いた条件的ノックアウト技術により、その機能を調べていく予定である。 以上の結果に加え、AP2-M1については、DNA結合ドメインであるAP2ドメインのGST融合リコンビナントタンパク質を用いてDIP-seqを行い、ChP-seqから予想された結合配列との一致を確認した。今後、その他2つの転写因子についても結合配列をin vitroで確認するとともに、それらの配列のcisエレメントとしての機能をChIP-qPCRやセントロメアプラスミドを用いたレポーターアッセイによって評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は予定通りに進行している。また、おおよそ期待していたものに近いデータが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究費申請当初の計画に沿って実験を進めていく。具体的にはAP2-M2とAP2-M3についてDIP-seqなどにより結合配列を確認する。また、同定した結合配列のcisエレメントとしての機能をChIP-qPCRやセントロメアプラスミドを用いたレポーターアッセイによって評価する。比較ターゲトームの情報をもとに同定した新規侵入関連遺伝子についてはGFP融合遺伝子発現株を作製することで細胞内での局在を調べるとともに、DiCre-loxPシステムを用いた条件的ノックアウト技術により、その機能を調べていく。
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