2023 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患の再発に必須の中枢神経系モノサイトの長期生存能獲得分子機構の解明
Project/Area Number |
21K07075
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北條 慎太郎 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (90585556)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 / モノサイト / T細胞 / 中枢神経 / サイトカイン / サイトカイン受容体 / ゲートウェイ反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前に、特定の神経回路の活性化が、臓器の特定の血管部位に免疫細胞の組織侵入口の形成を促進することによって、多発性硬化症(MS)マウスモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)などの組織特異的自己免疫疾患の発症を誘導する、「ゲートウェイ反射」と呼ばれる新しい神経免疫相互作用を発見した。また、我々は、EAEのCD4 T細胞養子移植モデル(tEAE)において、初発時に末梢から第5腰髄(L5)に集積してきたCD11b+MHCII+骨髄系細胞が、疼痛刺激を介したEAE病態の再発に関与することを報告してきた(痛みゲートウェイ反射)。本研究では、これら末梢由来の骨髄系細胞がどのようにして寛解期に中枢神経系で長期生存し、EAE再発を引き起こすのか、その分子機序を解明することを目的とした。その結果、tEAE誘導後の寛解期にL5に存在する当該細胞は、GM-CSFRαβ鎖と抗アポトーシス因子Bcl-xLを高発現していることがわかった。実際に、GM-CSFを髄腔内に局所投与すると、これら骨髄系細胞の実数が増加し、逆にGM-CSF経路を遮断すると、当該細胞数の減少とともに疼痛依存的な神経炎症の再発が抑制された。さらに、これらの細胞はL5周囲に存在する血液内皮細胞(BEC)と共局在しており、BECがGM-CSFを高発現していることが判明した。すなわち、tEAEモデルにおいて、末梢から中枢神経系へと移行してきた骨髄系細胞は、BEC由来のGM-CSFを介した生存シグナルにより長期生存維持され、疼痛を介したEAE病態の再発に関与していることが示された。本研究成果は、GM-CSFの抑制が、MSのような再発を伴う炎症性中枢神経系疾患における治療アプローチとして有効である可能性を示唆した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] GM-CSF Promotes the Survival of Peripheral- Derived Myeloid Cells in the Central Nervous System for Pain-Induced Relapse of Neuroinflammation2023
Author(s)
Matsuyama S, Yamamoto R, Murakami K, Takahashi N, Nishi R, Ishii A, Nio- Kobayashi J, Abe N, Tanaka K, Jiang JJ, Kawamoto T, Iwanaga T, Shinohara Y, Yamasaki T, Ohki I, Hojyo S, Hasebe R, Kubota SI, Hirata N, Kamimura D, Hashimoto S, Tanaka Y, Murakami M.
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Journal Title
J Immunol
Volume: 211
Pages: 34-42
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] GM-CSF promotes long-term survival of myeloid cells of peripheral origin in the central nervous system for pain-induced relapse of neuroinflammation2024
Author(s)
Shintaro Hojyo, Shiina Matsuyama, Reiji Yamamoto, Kaoru Murakami, Junko Nio-Kobayashi, Tadafumi Kawamoto, Takeshi Yamasaki, Rie Hasebe, Daisuke Kamimura, Shigeru Hashimoto, Yuki Tanaka, Masaaki Murakami
Organizer
The 52nd Annual Meeting of the Japanese Society for Immunology
Int'l Joint Research