2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new macrolide derivative targeting mTORC
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21K07182
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
西谷 直之 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (10286867)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Wnt / 阻害剤 / mTOR / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、マクロライド系薬剤であるイベルメクチンによるWnt/beta-cateninシグナル経路への阻害作用が、mTOR複合体(mTORC)の構成因子の1つであるTELO2(Tel2)への結合を介することを見出した。これは、新たな機序で作用するがん治療戦略として魅力的であるが、同薬剤の過量投与はGABA様の中枢神経作用等の副作用を起こすことが知られている。本研究では「イベルメクチンの誘導体化によって、Wnt/beta-catenin経路阻害作用の増強と中枢神経作用の軽減を両立できる。」という仮説をたて、新規治療標的であるTELO2を介したWnt/beta-catenin経路阻害薬のリード化合物を創成することを目的とする。 2021年度は、イベルメクチンの類縁マクロライド273化合物について、ゼブラフィッシュを用いた表現型スクリーニングで評価し、イベルメクチンを上回るWnt経路阻害活性を有する誘導体を18化合物得た。さらに、別バッチの18化合物を用いた2次スクリーニングの結果、特に有望な誘導体を2つ選定した。これらは、元化合物であるイベルメクチンに比較して数倍から10倍の活性増強を実現した。 イベルメクチンのベンゾフラン環は、副作用としてのGABA様作用に必須の構造と考えられている。今回評価した誘導体の中に、同構造に改変を加えた化合物も含まれていた。これらの構造改変は、イベルメクチンに比較してWnt/beta-catenin経路阻害活性を若干低下させたが、完全に消失するほどではなかった。したがって、高活性誘導体とベンゾフラン環改変誘導体の構造を併せ持つ新たな誘導体合成の方向性を導き出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イベルメクチンを上回る活性を有する新規化合物を得ることができ、活性増強のための構造改変の方針も定まった。また、副作用としての中枢抑制作用を軽減するための構造改変も可能であることが明らかとなり、副作用軽減のための誘導化の方針も定まった。したがって、当初予定していた2021年度の目標は達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
誘導体のTELO2への結合活性の増強をin vitro結合反応によっても確認する予定にしている。表面プラズモン共鳴分析法による分子間相互作用解析システム(Biacore)を用いて、GST融合Tel2タンパク質と誘導体との結合の解離乗数(KD)の算出も試みる。また、細胞レベルでのWnt経路阻害作用を確認する。ヒトがん細胞株を用いて、mTORCの下流因子であるS6キナーゼやAKTの活性化レベル、TELO2やβ-cateninのタンパク質レベル、β-catenin/TCF転写活性レベルを指標に、高活性低毒性誘導体のWnt/beta-catenin経路阻害作用を確認する。
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Causes of Carryover |
納入価割引のため、772円の残額が生じた。次年度に有効利用する。
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Research Products
(5 results)