2023 Fiscal Year Annual Research Report
V180I遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病の発症と病態進展に関わる因子の解明
Project/Area Number |
21K07447
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
岩崎 靖 愛知医科大学, 加齢医科学研究所, 教授 (60378172)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | プリオン病 / 遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病 / V180I / 経管栄養 / 呼吸不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
プリオン蛋白(PrP)遺伝子コドン180にバリンからイソロイシンへの点変異を伴うV180I遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は本邦の遺伝性CJDとしては最も多いタイプであるが、欧米ではほとんど認められない。高齢発症で長期経過を呈する事、浸透率が低いことが知られている。そこで、V180I遺伝性CJDの発症と病態進展に関わる因子について検討した。 当研究所において病理学的検索を行ったV180I遺伝性CJD(definite例)の19例を対象とした。臨床記録を後方視的に解析し、性別、PrP遺伝子コドン129多型、発症年齢、経管栄養の有無について統計学的に検討した。また、死因と全経過との関連についても検討した。MM1型孤発性CJD(definite例)51例を対象とした我々の以前の検討結果とも比較した。 性別は男性3例、女性16例、発症年齢は平均78.8±5.5歳(69〜90歳)だった。全経過は平均46.3±38.6ヵ月(6ヵ〜122ヵ月)で、コドン129多型はMet/Met例が15例、Met/Val例が4例だった。Met/Val例では、いずれもV180I変異とVal多型は異なるアリルに存在していた。経管栄養が施行されたのは11例(うち胃瘻造設3例)、施行されなかったのは8例だった。死因は、経管栄養や持続点滴が施行されず衰弱死した例が5例、肺炎が7例、肺炎や感染症などではない中枢性の呼吸不全が7例だった。V180I遺伝性CJDはMM1型孤発性CJDと比べて、有意に高齢発症であるにもかかわらず、有意に長期生存していた。経管栄養を施行した例の方が、施行しなかった例よりも、有意に長期生存していた。長期生存例では、中枢性の呼吸不全で死亡する例が目立った。経管栄養など積極的な延命治療を行ってもV180I遺伝性CJDの生存期間には限界があることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)