2023 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア病新規治療法の開発:イノシンとフェブキソスタットによるATP増強
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21K07807
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
三牧 正和 帝京大学, 医学部, 教授 (40392419)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミトコンドリア病 / ATP / プリンヌクレオチド |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア病は未だ根本的治療法が存在しない難病であり、5,000出生に1人程度が罹患する比較的患者数の多い先天代謝異常症である。その主病態は細胞内小器官であるミトコンドリアが担うATP産生障害にあるため、ATP産生を回復させることが治療上重要となる。 我々は細胞質のプリンヌクレオチドのサルベージ経路に着目し、既存薬のイノシンとフェブキソスタットの同時投与でATP産生を増強する治療法開発を目指している。我々の研究室で行っている高速液体クロマトグラフィー (HPLC)を用いた細胞内のプリン体16種の濃度測定系を応用し、ヒト線維芽細胞や筋芽細胞を用いた測定系の最適化を行った。これにより、ミトコンドリア病患者由来細胞におけるATPを含むプリン体を網羅的に評価できるようになった。令和5年度は前年度に引き続きミトコンドリア関連遺伝子変異を有する患者由来の線維芽細胞、筋芽細胞を用いて、細胞内プリン体の濃度をHPLCで測定し、症例数を増やしている。これまでに呼吸鎖酵素の活性低下が証明されている細胞でのATP量の低下傾向を認めている。さらにmtDNA変異を有する患者由来の培養細胞に薬物を添加した際の、サルベージ回路に関わるプリンヌクレオチドの動態を評価した。プリン代謝動態の解析により、想定通り細胞内ヒポキサンチンの増加と、それに伴うATPを含むプリンヌクレオチドの増加が確認された。一方、呼吸鎖酵素の活性やタンパク量には変化がないことも確認された。このことから、呼吸鎖機能が回復せずとも細胞質でのATP増強がえられることがわかり、多様なミトコンドリア病の治療に役立てられることが期待される。また、添加薬物の濃度の最適化を行い、至適濃度を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に研究補助員の体調不良があり辞職し、新規雇用した後任者への申し送りに時間を要した。大学内で共用しようしている高速液体クロマトグラフィー機器の不調があり、調整に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記課題は克服された。補助事業期間を1年延長し、予定の研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に研究補助員の辞職があり人件費が圧縮されたこと、機器の調整に時間を要し研究計画の遂行に遅れを生じたことから次年度使用額が生じた。いずれの問題も解決し、次年度に人件費や試薬購入費等に充当する予定である。
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