2021 Fiscal Year Research-status Report
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)における骨髄病変の分子機構の解明
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21K07813
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
工藤 耕 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20455728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 力 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50195731)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 組織球症 / ランゲルハンス細胞組織球症 / 骨髄病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
ランゲルハンス細胞組織球症の原因遺伝子の解析、および末梢血、骨髄血における変異の同定に関し、「生検腫瘍組織標本からの原因遺伝子解析方法の確立」を行った。具体的には、遺伝子変異好発部位における遺伝子変異を次世代シーケンサーおよびドロップレットデジタルPCR法で同定かつ定量的解析を行い、約90%の症例で実行可能であった。また、同一症例の「末梢血、骨髄血における、原因遺伝子変異陽性細胞の定量的解析方法を確立」し、論文発表を行った。さらに、骨髄血における遺伝子変異陽性細胞比率の臨床的意義について、「BRAFV600E遺伝子変異陽性のランゲルハンス細胞組織球症においては、骨髄血におけるBRAFV600E遺伝子変異アレル頻度、すなわち骨髄病変がどの程度含まれるかが、本疾患の臨床的病型を規定する」ことを明らかにした。、加えて、「ランゲルハンス細胞組織球症におけるBRAFV600E遺伝子変異陽性細胞が陽性となる骨髄病変陽性症例群は、既存のリスク因子であり予後不良とされるリスク臓器陽性症例群と一致し、低年齢症例群で有意に多く認められ、治療中の増悪および再発のリスクが高い」ことを明らかにし、論文発表をおこなった。現在、骨髄病変の割合が高い症例において、フローサイトメトリーまたは磁気ビーズによる細胞分画ごとの細胞分取法を確立した。また、骨髄病変のメカニズム解明のため、微量に含まれる骨髄病変の遺伝子変異陽性細胞の発現解析目的にシングルセル解析の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で明らかにしたデータをまとめ、学会発表および論文発表を行った。 異常細胞が多く含まれる細胞分画同定のため、骨髄細胞の細胞分画事の解析手法を確立した。シングルセル解析を行う検体を選定し準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体を用いた研究では、予定通り、細胞分画ごとの遺伝子変異陽性細胞の割合から、どのような細胞分画に遺伝子変異陽性細胞が分布するのかが、臨床像と関係するかを明らかにする予定であり、順調に進捗している。また、発現解析においては、シングルセル解析での遺伝子発現解析が可能となったため、骨髄病変陽性の検体を中心にメカニズムの解明とくに治療抵抗性と臓器特異性に関する新知見を探索する。また、BRAF遺伝子変異導入モデル細胞の作成に着手し、遺伝子変異の有無や種類を変化させた細胞の機能を細胞培養、発現解析などを実施することにより、骨髄での生存優位性の機序を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に注文した試薬類が、海外からの生産及び輸送工程において大幅な遅延が生じたため、次年度に使用することになった。新年度に無事に納品されたため、研究に使用する。
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