2022 Fiscal Year Research-status Report
低体温療法を中心としたグリアの機能制御による新生児脳障害の包括的な新規治療戦略
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21K07830
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
垣田 博樹 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40528949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 覚 愛知医科大学, 医学部, 助教 (20715875)
山田 恭聖 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60405165)
青山 峰芳 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (70363918)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新生児脳障害 / 新生児低酸素性虚血性脳症 / 脳室周囲白質軟化症 / グリア / 低体温療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児の後遺症なき生存を阻む大きな壁は脳障害である。近年、低体温療法は新生児低酸素性虚血脳症(HIE)における治療法として確立した。しかし、その効果は限定的であり、低体温療法を強力に補完または新たな治療法の確立は喫緊の課題である。申請者らはこれまでに、低体温療法の脳保護効果はグリアが分泌するエリスロポエチン(EPO)を介し、さらにEPOの発現調節にAMP-activated protein kinase が関与することを明らかにした。これらの研究成果を発展させ、本研究ではグリアを用いた基礎研究で、低体温療法の脳保護メカニズムのさらなる解明、新規補完治療法の開発を行う。さらにグリアの機能を制御することで、成熟児におけるHIEのみならず、低体温療法が施行困難な未熟児の脳室周囲白質軟化症も含めた包括的な新生児脳障害の治療成績を向上させることを目的とした。 今回の研究では、EPOの発現にAMP-activated protein kinase (AMPK)が関与していることを明らかにした。AMPKは細胞内でAMPのセンサーとして働き、糖代謝、炎症、加齢、神経保護などに関わることが報告されている。さらに低体温療法はミクログリアにおいてNFκ-Bの活性化を抑制することで、神経保護効果を示すことを明らかにしてきた。 現在はグリアの培養細胞を用いて低温状態でのアストロサイトのEPO発現やミクログリアの活性化抑制においてAMPKの作用をAMPK阻害剤やAMPK活性化剤であるメトホルミンを用いて検討している。さらにAMPKはHypoxible induce factor (HIF)やNFκ-B、さらにsitruinなど低酸素、炎症、代謝に関わるタンパク質との相互作用が知られており、それらの相互作用についても解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、グリアの培養系を用いて低温状態がAMPKの発現を調整することを明らかにできた。またAMPKに関与するタンパクについて解析を始めており、検討しているところです。また当初の予定であるHIEモデルマウスも安定的に作成できており、今後実験に使用していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、in vitroで明らかになった、AMPKの作用を中心に、HIEのモデルマウスで検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
モデルマウスの作成がうまくいき、当初予定していたマウスの購入数、それに伴う試薬購入費が減ったため。
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Research Products
(1 results)