2022 Fiscal Year Research-status Report
肝癌幹細胞の維持・免疫寛容機構の解明と治療最適化の検討
Project/Area Number |
21K07953
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荘 拓也 北海道大学, 大学病院, 助教 (50581104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 直哉 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10334418)
須田 剛生 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (20447460)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HCC / 肝癌幹細胞 / FGF |
Outline of Annual Research Achievements |
世界における肝がんはがん関連死亡原因の第 2 位と公衆衛生上、大きな問題となり、今後もその罹患数は増加が予想されている。申請者らは、肝癌関連死の減少を目指し、肝癌治療の多施設共同臨床研究を行うとともに、肝癌の難治性の原因の一旦に肝癌幹細胞(CSCs)が関与するとの仮説ものもと、肝癌幹細胞の研究を行ってきた。その中で、肝癌幹細胞維持に重要なファクターとしてKLF5が強く関与する事を明らかにし、その恒常発現細胞を樹立、同細胞株を用いて検討を行い肝癌CSCs維持にFGFR1-3シグナルが重要である事をあきらかにした。この独自に樹立した肝癌CSCs細胞の表現型を持つcell line を用いて、FGFRシグナルと肝癌CSCs細胞の維持機構について検討をすすめた。その結果、FGFR4/FGF19 axis を中心としたシグナルは、腫瘍増殖に重要である事を見出したが、一報でFGFR1-3/FGF2を介したシグナルは肝癌CSCsの維持に重要である事を明らかにした。このcell lineを用いて、更にFGFシグナルとCD44/CD133高発現細胞に代表される、肝癌幹細胞上のPDL1を初めてとした等腫瘍免疫関連因子発現との関連解析を行い、FGFシグナルと肝癌幹細胞における腫瘍免疫に与えるFGFの影響を明らかにした。これら、肝癌幹細胞免疫寛容機構の解明により得られる知見を発展させ、肝癌幹細胞をターゲットとした免疫チェックポイント阻害剤を含む治療最適化探索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝癌幹細胞の表現型を有する、cell line の構築に成功し、それを用いて肝癌におけるcancer stem cell 維持においてFGFシグナルの重要性を明らかにするとともに、腫瘍免疫との関連の検討まで進めている為
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Strategy for Future Research Activity |
肺がん・乳癌においては、肝癌のCSCsマーカーであるCD44発現がPDL-1発現に強く寄与する事が報告されている。同知見に基づき、肝癌幹細胞においてFGFR1-3シグナルがCD44高発現を誘導する事, CD44発現が乳癌、肺がんにおいては、PDL-1発現を誘導する事より、肝癌幹細胞におけるFGFR1-3シグナルを含む各増殖シグナル、CD44とPDL-1発現・他免疫抑制性受容体発現解析を行い、in vivo では同種移植モデルを用い、更に臨床検体、癌ゲノムデータベース(TCGA database)を用い人においても下記の如く検討する。1)KLF5恒常発現細胞、コントロール細胞のCD44, PDL-1含む免疫寛容受容体発現をRT-PCR, FACSで検討。更にIFN存在時における反応性も検討する。2)FGFR1-3, 4, HGF, ANG2, VEGF, EGFR 阻害剤加療によるKLF5恒常発現細胞、コントロール細胞における免疫寛容受容体発現を検討3)マウス肝癌細胞株Hep55.1.cをソーティングによりCD44high/CD133 high , CD44low/CD133 low 細胞を分離培養して、上記と同様の検討を行う。IFN存在時における反応性も検討する。4)同系マウスのC57BL/6の肝臓にマウス肝癌細胞株Hep55.1.cをソーティングにより分離したCD44high/CD133 high, CD44low/CD133 low移植し、腫瘍形成能、免疫チェックポイント阻害剤への応答性を検討する
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Causes of Carryover |
動物実験の条件設定が、未だ終わっておらず、動物実験の主な予算は次年度使用する予定とする為
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