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2022 Fiscal Year Research-status Report

造血幹細胞の発生起源となる前駆細胞の同定およびその分化制御シグナルの解明

Research Project

Project/Area Number 21K08398
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

古賀 沙緒里  熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (80590249)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords造血幹細胞 / プレ造血幹細胞 / 造血性内皮細胞 / 試験管内分化誘導
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、造血幹細胞の正常な発生過程を詳細に解明し、それをES細胞を用いて再現することで、造血幹細胞の試験管内分化誘導法の構築を目指している。造血幹細胞は胎生期において、中胚葉→造血性内皮細胞(HEC)→プレ造血幹細胞(pre-HSC-I/II)→造血幹細胞というプロセスを経て発生する。これまで、造血幹細胞の試験管内分化誘導が成功していない要因として、中胚葉からpre-HSC-Iへの詳細な分化過程が不明のため、ES細胞からの誘導条件を決定できない点が挙げられる。特に、HECとpre-HSC-Iは既存の膜表面抗原に基づいた定義で特異的な細胞を単離できておらず、その分化制御機構も不明であった。そこで、本研究では造血幹細胞へと分化できる特異的なHECとpre-HSC-Iを同定できる新規マーカー分子の探索とその分化制御シグナルの同定を目指した。
今年度は、pre-HSC-Iから造血幹細胞への分化誘導に重要な2因子が、実際にマウス胎仔の造血幹細胞の発生環境において産生されていることを明らかにし、我々が構築したpre-HSC-Iから造血幹細胞への誘導条件が生体内の発生過程を再現できている可能性を示せた。また、前年度にHECを含む血管内皮細胞から造血幹細胞への分化誘導に成功していたが、その分子メカニズムとしてNotchシグナルの関与を明らかにした。さらに、HECの新規マーカーとなり得る候補分子を2つ同定しており、現在、これらの候補分子が実際に新規マーカーであるか検討している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

まず、初年度にsingle cell RNA-seqデータを用いてpre-HSCを同定することができ、さらにpre-HSCに発現している遺伝子情報に基づいた検討の結果、2つの造血因子がpre-HSCから造血幹細胞への分化に重要であることを解明したため、今年度はこれら2つの造血因子の受容体がpre-HSC-Iの新規マーカーになるか検討した。その結果、pre-HSC-Iでは片方の受容体しか発現しておらず、もう片方はpre-HSC-IIもしくは造血幹細胞へと分化した後、発現してくることが明らかになった。したがって、2つの造血因子に対する受容体はpre-HSC-Iの発現遺伝子としてのマーカーにはなり得ることが示された。また、マウス胎仔において、造血幹細胞が発生する大動脈および肝臓でこれら2つの造血因子が実際に産生されている可能性があることも明らかにした。
次に、前年度に構築したHECを含む血管内皮細胞から造血幹細胞への培養法において、どのような分子メカニズムが関与しているのか検討した。その結果、フィーダーとして用いた2つの細胞株に共通して発現しているシグナル関連分子を同定し、Notchシグナルが関与している可能性を示した。さらに、HECの新規マーカーとなり得る候補分子として2つの分子を同定しており、現在、新規マーカーとして使用可能か検討している。
以上より、本課題は順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

HECの新規マーカーとなり得る候補分子を2種類同定したため、これらの候補分子が実際にHECマーカーであるか検討する。具体的には、候補分子の発現時期や発現強度が造血幹細胞の発生にどのような影響をもたらすのか明らかにする。さらに、候補としているマーカー分子は膜表面抗原ではないため、遺伝子改変マウスを使用せずにHECを単離できる膜表面抗原の同定も目指す。
また、マウスの胎生11日目における造血幹細胞の前駆細胞は、主にpre-HSC-Iであることを明らかにできたため、胎生10日目における主な前駆細胞が何かを解明する。具体的には、血管内皮細胞マーカーをまだ発現している時期なのか、既に内皮-造血転換 (造血幹細胞の発生に必須の工程) を起こした後の血球マーカーを発現している時期なのかを明らかにする。これにより、マウス胎仔期の造血幹細胞の発生過程がどのような時間軸で進んでいるのか解明できる。

Causes of Carryover

ほぼ予定通り、予算の執行ができた。残額は次年度の細胞培地購入に使用する予定である。したがって、実験内容および使用計画の変更は特に生じない。

URL: 

Published: 2023-12-25  

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