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2023 Fiscal Year Research-status Report

多機能性T細胞を標的とした免疫学的寛解治療法の確立

Research Project

Project/Area Number 21K08443
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

前田 伸治  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80381854)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 橋本 大哉  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (50775715)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
KeywordsSLE / T細胞 / マスサイトメトリー / 機械学習
Outline of Annual Research Achievements

R5年度は、昨年度に引き続き、ヒト自己免疫性疾患におけるT細胞の解析を行いました。特に全身性エリテマトーデ(SLE)の病態と、生物製剤であるベリムマブ(BEL)による治療がT細胞の免疫プロファイルに与える影響を詳細に解析しました。治療前後のT細胞の変動を評価することで、BELの治療下でも抵抗性を示すT細胞群の表現型を明確にし、免疫学的寛解の新たな標的を確立することを目指しました。
25種類のT細胞マーカーパネルを用いた質量細胞計測法(マスサイトメトリー)により、BEL治療を受けた22名の患者と非BEL治療の20名の患者の末梢血T細胞(CD3+)の免疫プロファイルを解析しました。FlowSOMという機械学習のクラスタリングを使用し、39のT細胞クラスタ(TCL01-TCL39)を同定し、BEL治療と関連性のあるクラスタを特定しました。その結果、特に調節性T細胞(Treg)の変動や、T細胞サブセットのTregに対する比率の改善が観察されました。さらに、CM CD4+ T細胞の表現型であるTCL27(ICOS+、CD28+、CD38+、PD-1-)の増加を確認しました。事後解析では、TCL27とC3補体価との間に負の相関が見られました。これは、TCL27がSLEの免疫調節異常に影響を及ぼし、BEL治療下での新たな治療標的として機能する可能性があることを示唆しています。
これらの解析結果を基に、ヒト免疫において、マスサイトメトリーによる高次元解析と機械学習のアプローチにより、病的T細胞クラスターの候補を探索する方法の確立に取り組んでいます。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

R5年度の進捗状況は概ね順調で、以下の理由により一定の進捗が見られました。
昨年度に行ったヒト関節リウマチ研究の経験を生かし、同様の方法論でヒト全身性エリテマトーデス(SLE)の末梢血の解析を優先的に実施しました。このアプローチにより、効率的にデータ収集と解析を進めることができました。
解析には機械学習を用いており、この専門性の高い技術は解析自体にかなりの時間を要しますが、より精密なデータ解析を可能にしています。
さらに、今回のSLEに関する解析結果を基に、昨年度に解析した関節リウマチ患者の末梢血T細胞(血清反応陽性と陰性)の方法を見直しました。これにより、論文化に向けた機械学習のプログラムやその他の解析手法の調整を行っています。
これらの取り組みは、今後の研究方向性や論文発表に向けて、より確固たるデータと解析手法の基盤を築くことに寄与しています。

Strategy for Future Research Activity

R6年度における今後の研究推進方策は、以下の二つの主要なプロジェクトに焦点を当てています。
● 研究A; PFC-T細胞の人為的不活化研究(研究代表者):
我々は、ヒト化マウスモデルを用いたPFC-T細胞の研究を拡張し、確立したヒトPFC-T細胞のin vivoモデルから脾臓のヒトT細胞を採取し(hNOG-PFC-Tcells)、これを再度NOGマウスに養子移入する(2nd移入モデル)。2回目の移入後の実験デザインは、未介入のコントロール群、ヒトTregを同時移入する群、およびCTLA-4 Igを介入する群の三つに分けて行います。観察期間後の14日目には、マウスを解剖し、血清、脾臓細胞のヒトT細胞(2nd hNOG-PFC-Tcell)、および各臓器(肺、肝臓、腎臓、筋、心臓など)の病理サンプルを採取します。これにより、PFC-T細胞の人為的不活化が免疫反応に及ぼす影響を詳細に解析します。
● 研究B; ヒトリウマチ性疾患におけるPFC-T細胞の重要性の解明(橋本氏と研究代表者による共同研究):
昨年度に収集された関節リウマチ患者の質量細胞計測法(Mass cytometry)データを新たに組み直した方法で再解析し、より精度の高いT細胞クラスターの同定を目指します。この結果を基に、T細胞がリウマチ性疾患においてどのように機能するかを明らかにし、その成果を論文として発表する計画です。

Causes of Carryover

次年度に研究資金が繰り越された理由は、研究プロジェクトの進行計画に調整が必要だったためです。具体的には、効率的な研究遂行のためにヒトリウマチ性疾患の末梢血解析を最初に行うことを決定しました。この戦略により、ヒト末梢血解析は予定より進んだ一方、PFC-T細胞の人為的不活化研究におけるヒト化マウスモデルを用いた実験の開始が遅れました。さらに、この研究では今後RNA-seqなどの追加解析が必要となり、それに伴う予算の確保が必要でした。
また、これまでの研究で主にヒトリウマチ性疾患の末梢血解析に必要な、高性能の計算機資源を獲得済みの研究費(研究代表者 若手18K16159)で賄うことができたため、その分の予算を新たな研究方向に充てることが可能になりました。これにより、必要な資金が一部余剰となり、結果的に次年度への繰り越しが生じました。
これらの状況から、資金の有効活用と研究の効率化のバランスを取りながら、次年度の研究活動に向けて適切な資源配置を行っています。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] High-dimensional analysis of T-cell profiling variations following belimumab treatment in systemic lupus erythematosus2023

    • Author(s)
      Shinji Maeda , Hiroya Hashimoto , Tomoyo Maeda , Shin-Ya Tamechika , Shuntaro Isogai , Taio Naniwa , Akio Niimi
    • Journal Title

      Lupus science & medicine

      Volume: 10 Pages: e000976

    • DOI

      10.1136/lupus-2023-000976

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 多機能性T細胞と自己免疫性疾患2023

    • Author(s)
      礒谷俊太郎, 前田伸治
    • Journal Title

      別冊 BIO Clinica 慢性炎症と疾患 特集「膠原病」

      Volume: 12 Pages: 103, 107

  • [Presentation] 全身性エリテマトーデスにおけるBelimumab治療がもたらすT細胞免疫プロファイリング変化の高次元解析2023

    • Author(s)
      前田伸治, 為近真也, 前田智代, 磯谷俊太郎, 難波大夫
    • Organizer
      第67回日本リウマチ学会総会・学術集会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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