2021 Fiscal Year Research-status Report
The role of healthcare environment in transmission of antibiotic-resistant bacteria and environmental infection prevention strategies using no-touch methods
Project/Area Number |
21K08504
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金森 肇 東北大学, 医学系研究科, 講師 (70625318)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多剤耐性菌 / 医療環境 / ノータッチ・メソッド |
Outline of Annual Research Achievements |
医療施設ではさまざまな感染対策を実施しているが、国内外で汚染された医療環境を介した多剤耐性菌の院内感染やアウトブレイクが現在も起こっていることから、医療環境における薬剤耐性対策は重要である。国内の医療施設においても多剤耐性菌の伝播における感染対策はいまだ確立しておらず、環境感染制御のエビデンスの構築が必要である。本研究では、多剤耐性菌の感染伝播における医療環境の役割を理解するために、医療施設で検出された多剤耐性菌の全ゲノム解析を行い、耐性菌の伝播機序を解明する。また、多剤耐性菌の環境感染制御において、ノータッチ・メソッドを用いた環境消毒の効果を明らかにする。令和3年度においては、大学病院において2021年1月~12月に検出されたカルバペネム耐性腸内細菌目細菌による感染症および保菌の患者由来の臨床分離株を50株収集した。そのうち、4株(Enterobacter cloacae complex 3株、Escherichia coli 1株)がPCR法でIMP型カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌と判定された。次世代シーケンサーを用いてカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌のゲノム解析を行い、耐性遺伝子を網羅的に検索し、地域で流行している耐性遺伝子の同定および型別を行う。また、菌株間の相同性分析を行い、流行クローンの伝播状況をゲノム疫学的に解明する。多剤耐性菌の伝播と医療環境の役割を明らかにし、紫外線照射装置などのノータッチ・メソッドを用いた環境消毒について基礎的および臨床的なエビデンスを調べるため、文献レビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学病院において対象とした多剤耐性菌の検出が少なく、菌株収集が遅れている。また、多剤耐性菌の患者病室で紫外線照射装置を使用し、環境サンプリングを実施した事例が少なく、研究計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床由来の多剤耐性菌株の収集を継続し、薬剤感受性試験、PCR法による耐性遺伝子の検出、次世代シーケンサーを用いたゲノム解析を行う。また、環境由来の多剤耐性菌株も収集予定である。多剤耐性菌の菌種毎に耐性遺伝子の伝播メカニズム、菌株間の相同性を明らかにし、国内外の比較検討を行う。国内の医療施設において、多剤耐性菌の環境感染制御におけるノータッチ・メソッドの有用性を検証する。
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Causes of Carryover |
令和3年度の菌株収集が遅れたため、計画していた実験やデータ分析を実施できなかった。令和3年度に予定していた臨床および環境由来の多剤耐性菌株の収集、薬剤感受性試験、PCR法、ゲノム解析を行うために必要な経費として、次年度請求額とあわせて使用する計画である。
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