2021 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎の病態解明に向けた回腸嚢炎の細菌叢解析
Project/Area Number |
21K08677
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
内野 基 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00388810)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石戸 聡 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10273781)
中西 裕美子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (10614274)
堀尾 勇規 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10838999)
小椋 英樹 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20573174)
加藤 完 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (20632946) [Withdrawn]
孫 安生 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30447924)
皆川 知洋 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70839000)
池内 浩基 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80319863)
桑原 隆一 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90839010)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 回腸嚢炎 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎(UC)は病因が未だ解明されていない免疫異常に関わる難病指定疾患である。腸内細菌叢の関与が推測されているが、具体的に説明できる腸内細菌叢は明確ではない。本研究では、UC関連疾患である回腸嚢炎の発症における腸内細菌叢異常の関与を解明し、腸内細菌叢の関与へのヒントを得る事を目的としている。 これまでに約150例の患者便サンプルを採取、DNAを抽出した。16s rRNAのV1領域にて解析を進め、Enterobacteriaceaeが炎症時、優位に増加しており、炎症の程度と正の相関を認めた。抗菌薬治療が著効した場合には、治療前に約40%を占めていたFusobacteriaceaeがほぼ消失したていた。また、Lactospiraceae、Bifidobateriaceaeが炎症時、優位に減少しており、それぞれ炎症スコアとの負の相関を認めた。 次いで、細菌のマウスへの移植による解析を進めている。細菌移植を受けるマウスの常在細菌を除去し、便サンプルを投与した後、大腸粘膜固有層の炎症状態を調査している。高度炎症のサンプルは、マウス大腸において炎症細胞を優位に増加させた。Fusobacteriaceaeはマウス大腸において炎症細胞を優位に増加させた。炎症を惹起しうる候補としてF. mortiferum、Enterobateriaceaeの細菌が挙げられた。また、Lactospiraceae, Bifidobateriaceaeは炎症を抑制する可能性も示唆された。 現在、検体採取と関連細菌の候補解明を継続しつつ、炎症惹起または抑制に働く細菌を単離し、炎症惹起能(炎症性サイトカイン、病原性Th17誘導能)、炎症抑制能力(iTregの誘導、抑制性サイトカインIL-10の誘導能力)について調べる。さらにマウスへの移植実験で確認しつつ、IL-10欠損マウスも使用し炎症惹起、抑制効果も検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19禍による患者受診の制限、減少、便採取のための内視鏡検査制限によりサンプル採取が遅れている。また、原因候補細菌の単離培養、マウスへの便サンプル投与、定着にやや難渋している。
|
Strategy for Future Research Activity |
COVID対応も徐々に解除されているためサンプル採取を継続して増やす予定。並行して細菌単離培養、マウスへの移植を継続する。
|
Causes of Carryover |
COVID19の影響により受診患者数、サンプル採取の内視鏡検査数が減少した。 また学会発表は行っていないが関連した研究内容の治験を得るために参加する学会がWeb開催となり旅費が不要であったため次年度使用額が生じた。 次年度にはサンプル採取、DNA抽出、候補細菌の同定を継続し、マウスへの移植実験を増やす。また結果に進捗が認められ、ある程度結論が付けば学会発表、論文化を進める。したがって実験にかかる費用、学会、論文に関わる費用が必要となる。
|