2021 Fiscal Year Research-status Report
プロテオゲノミクス解析と患者由来モデルを用いた腹膜偽粘液腫の新しい治療法の開発
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21K08743
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
野口 玲 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30779682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小迫 英尊 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (10291171)
近藤 格 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (30284061)
亀山 昭彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (80415661)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腹膜偽粘液腫 / 患者由来がんモデル / プロテオゲノミクス / 薬剤感受性試験 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、希少で難治な腹膜偽粘液腫(Pseudomyxoma peritonei: PMP)の治療法の開発に向けて、病態の分子生物学的背景の理解に基づき、有効な抗がん剤および治療標的を見つけることである。PMPは粘液を大量に産生する腫瘍細胞が腹腔に播種することで様々な症状を呈する希少悪性腫瘍である。原発巣の切除、粘液の除去、そして腹腔内の灌流化学療法がPMPの治療である。5年生存率は60%と生命予後はよいのだが、約40%の症例が術後再発を繰り返し、治療による合併症が30%の症例で発生する。申請者は世界に先駆けてPMPの全ゲノムシークエンス解析・RNA-Seq解析を行い、さらに複数の患者由来PMP細胞株を樹立した。本研究では、①PMPの腫瘍組織を用いてプロテオミゲノミクス解析を行い、治療標的を同定する。②患者由来PMP細胞株を用いて抗がん剤スクリーニングを行い、有効な抗がん剤を同定する。③PMPが産生する粘液(ムチン)の特性を分子マトリックス電気泳動及び糖鎖修飾解析で明らかにし、粘液を減量・除去する方法に資する知見を得る。当該年度として、②の患者由来PMP細胞株を用いて抗がん剤スクリーニングを行い、抗腫瘍効果を有する抗がん剤の同定を行い、学会で発表し、論文として報告した。また①についてタンパク質の抽出方法について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①PMPの腫瘍組織を用いてプロテオミゲノミクス解析を行い、治療標的を同定する。②患者由来PMP細胞株を用いて抗がん剤スクリーニングを行い、有効な抗がん剤を同定する。③PMPが産生する粘液(ムチン)の特性を分子マトリックス電気泳動及び糖鎖修飾解析で明らかにし、粘液を減量・除去する方法に資する知見を得るという目標で計画した。②について樹立細胞株にて薬剤感受性試験を行い、新規の抗がん剤を同定した。本結果について学会・論文での報告を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
①PMPの腫瘍組織を用いてプロテオミゲノミクス解析を行い、治療標的を同定する。②患者由来PMP細胞株を用いて抗がん剤スクリーニングを行い、有効な抗がん剤を同定する。③PMPが産生する粘液(ムチン)の特性を分子マトリックス電気泳動及び糖鎖修飾解析で明らかにし、粘液を減量・除去する方法に資する知見を得る。 について ②について細胞株数を増やし、薬剤感受性試験を行い、複数の腹膜偽粘液腫細胞株に共通する抗腫瘍効果のある抗がん剤を同定する。 ①③についてタンパク質の抽出方法を探索できたので、実行し、質量分析を行い、ゲノムのデータとともにプロテオゲノミクスを施行する。また共同研究者の亀山先生とともに糖鎖修飾解析で粘液についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
分担研究者2名が本年度施行しなかった。次年度持ち越して、実験に使用する。
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Research Products
(3 results)