2021 Fiscal Year Research-status Report
恒常性維持機構から解明する大動脈解離の分子病態:制御性T細胞の役割
Project/Area Number |
21K08851
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
橋本 洋平 久留米大学, 医学部, 助教 (10811086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 憲史 久留米大学, 医学部, 助教 (50624508)
青木 浩樹 久留米大学, 付置研究所, 教授 (60322244)
田山 栄基 久留米大学, 医学部, 教授 (90281542)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Syk / 大動脈解離 / T reg |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのわれわれの研究で、Syk阻害が解離の増悪と死亡率増加を助長することが明らかになった。Syk活性が大動脈解離病態において免疫関連分子を制御し大動脈組織保護の中心的役割を果たすことが示唆され、解離病態解明に繋がる新たな知見となった。また、偶発的ではあるが、Syk阻害薬が免疫寛容の主体である制御性T細胞を抑制していることも示唆し他分野への応用に繋がる知見を得ている。今回、引き続きBioPlex によるサイトカインの評価を行ったところTreg細胞のエフェクター分子である血清IL-10も抑制された。Syk阻害薬であるfostamatinibにより制御性T細胞(Treg 細胞)の抑制を示唆する所見を得ており、免疫制御という新たな分野への展望も示唆された。更に、組織的なSykの役割を評価するため、平滑筋細胞およびマクロファージ特異的Sykのコンディショナルノックアウトマウス作成(floxマウスとCre発現マウスを交配)し生産ラインの確立を行った。また、平滑筋特異的Sykノックアウトマウスにおいては、タモキシフェン投与によるノックアウトが必要であったため、タモキシフェン投与後、どの時点でSykがノックアウトされるかの確認を行っている。今後、生産ラインおよびノックアウトの確認ができ次第、ノックアウトマウスの大動脈解離モデルを作成し、細胞機能に着目した解離病態の解明を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平滑筋細胞およびマクロファージ特異的Sykのコンディショナルノックアウトマウス作成(floxマウスとCre発現マウスを交配)し、すでに生産ラインを確立している。また、平滑筋特異的Sykノックアウトマウスにおいては、タモキシフェン投与後どの時点でSykがノックアウトされるかの確認を行なっており、概ね目処がたっている。 以上より、解離病態におけるSykおよび制御性T細胞の役割解明は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、生産ラインおよびノックアウトの確認ができ次第ノックアウトマウスの大動脈解離モデルを作成し、細胞機能に着目した解離病態の解明を行っていく。
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Causes of Carryover |
コンディショナルノックアウトマウスの生産ラインの確立と並行して、野生型マウスに対する制御性T細胞の更なる組織・蛋白評価を予定していたが、新型コロナ肺炎の影響もあり試薬などの納入が次年度となったため、次年度使用額が生じた。予算の一部を今年度の試薬類に充て研究の加速を図った。次年度使用額は主に組織特異的ノックアウトマウス解析と論文執筆に充てる予定である。
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