2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of photoimmunotherapy via O-glycans and siRNA delivery system using iRGD nanoparticles in lung cancer
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21K08876
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 達哉 北海道大学, 大学病院, 教授 (20624232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 遊 東北大学, 薬学研究科, 講師 (00707234)
畑中 佳奈子 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (10399834)
小川 美香子 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (20344351)
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 准教授 (30399919)
畑中 豊 北海道大学, 大学病院, 特任准教授 (30589924)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん糖鎖抗原 / 光免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はMUC1がん特異的糖鎖抗原のみを選択的に認識する新規モノクローナル抗体(MUC1-Tn抗体)と光感受性物質であるIR700との結合体を用いて、がん細胞のみを特異的に攻撃する新たな治療法を確立し、新規の肺がん治療法の開発を目指すものである。 今年度は、まず本研究の肝となるMUC1-Tn抗体の供給源である㈱医化学創薬と共同で研究をすすめ、MTAを締結し、本実験で想定される抗体量の確保に努め、動物実験まで含めた十分量の抗体を得ることに成功した。 さらに今年度は、研究実施計画に則り、まず今後in vitro実験およびin vivo実験に用いる予定のMUC1-Tn高発現の細胞株の選定を行った。乳癌細胞株であるT47DがMUC1-Tnが高発現していることが判明したが、その後21個の肺癌細胞株のセルブロックを作成し、抗MUC1-Tn抗体を用いて免疫染色を行った。うち2株(RERF-LC-KJ, H2228)に高発現が認められ、今後、in vitroおよびin vivo実験に使用可能と判断した。その他、陰性コントロールとしての細胞株も複数選定した。 また、実験遂行者はすでにIR700と抗MUC1-Tn抗体を合成する技術を習得しており、予備実験として、MUC1-Tn抗体とIR700の結合体を作成し、T47Dに導入後、FACSにて細胞膜表面に抗体が結合していることを確認した。また、タイムラプス顕微鏡でレーザー照射により導入細胞で細胞膜よりブレブが隆起し、細胞死に至ることを確認することができた。したがって今後肺癌細胞株を用いた本実験を開始できる状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
MUC1-Tn抗体に関して共同研究者とMTAを締結し、実験に必要な十分な量の抗体を得ることに予想以上に時間を要した。多数の肺癌細胞株を用いたセルブロックを作成し、MUC1-Tnによる発現解析にさらなる時間を費やした。本実験に関しては、コロナで実験のできない時期があったことと、他の部内者の体調不良・メンタルヘルスの問題により実験遂行者が実験に専念できない状況があったため、本格的に実験を開始できない状況にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年4月からは実験遂行者は薬学研究院へ出向し、本格的に実験を開始している。まずin vitroにおいて上述したMUC1-Tn高発現している複数の肺癌細胞株を用いて、MUC1-Tn抗体とIR700複合体を生成し、陽性株にMUC1 Tn-ED Ab-IR700を導入後,FACS/蛍光・共焦点顕微鏡を用いてがん細胞への集積性を確認する。さらに近赤外線レーザーを照射し,MTS assayによりIR700による治療効果の判定を行う。次にin vivo実験として、マウス皮下腫瘍モデルを用いた「MUC1 Tn-ED Ab-IR700」の腫瘍集積性の確認を予定している。ヌードマウスに皮下Xenograftを作製し、MUC1 Tn-ED Ab-IR700を静注し,in vivo imagingを用い各タイムポイントで腫瘍への集積性を評価する。一部に投与24時間後に犠牲死させ,腫瘍を摘出し,蛍光顕微鏡にて腫瘍細胞への集積性を評価する。次に「MUC1 Tn-ED Ab-IR700」の治療効果を評価するためヌードマウスに皮下腫瘍を作製し,①対照群 ②MUC1 Tn-ED Ab-IR700のみ群 ③近赤外線照射群のみ ④MUC1 Tn-ED Ab-IR700+近赤外線照射群の4群に分類し、レーザーを照射後,24時間後に一部犠牲死させ腫瘍摘出し,腫瘍増殖能(Ki-67)とアポトーシス(cleaved caspase 3)を評価する。経時的に腫瘍径を測定し,治療効果および生存率を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は助成金が必要とならない実験を進めていたが、2022年4月から、本格的に実験を開始しており、今後、抗体-IR700複合体の生成、細胞培養関連、集積性の評価のためのFACS、顕微鏡等の物品費、消耗品として助成金が必要である。また、in vivo実験に伴いマウスの購入代、治療効果判定としての免疫染色等の物品費なため今年度予算を来年度に全て繰り越したい。
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