2022 Fiscal Year Research-status Report
CyTOFを用いた集中治療後症候群の病態解明と予防法開発に向けた基盤研究
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21K09008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前川 邦彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (50439189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 剛志 北海道大学, 医学研究院, 助教 (30455646)
山川 一馬 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (50597507)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PICS / 敗血症 / 臓器障害 / LUMINEX / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、①生存率評価、②サイトカイン/ケモカインのLUMINEXによる網羅的測定のための血漿検体採取・保存、③Cytometry by time-of-flightにより血中免疫細胞評価のための血液検体処理・保存、④臓器障害評価のための肺、肝、腎、脾の摘出、保存、を行ったが、③の検体処理過程で実施者の家族にCOVID-19陽性が判明し処理継続が不能となったため、CyTOF用の検体の半分が使用不能となった。そのため、最初から実験をやり直しサンプリングをやり直した。 研究成果としては、当方で確立している2つの敗血症モデル(FSI: 糞便腹腔内注入、CLP:盲腸結紮穿孔)による敗血症誘導1か月後にリポポリサッカライド(LPS)5㎎/kgの腹腔内投与によりsecond hitを誘導したものを集中治療後症候群(PICS)モデルとして、その病理学的評価を行った。脾臓のマクロファージの出現はFSI+LPS、CLP+LPSともに2度目の炎症惹起では、FSIおよびCLP単独に比べて少なかった。肺のうっ血に関してはFSI+LPSとFSI、CLP+LPSとCLPで明らかな差が見られなかった。腎臓ではFSI+LPSで糸球体の数珠状の脱落が確認された。肝臓ではFSI+LPSでは胆管炎がみられた。またFSI, FSI+LPSでは門脈内での好中球が確認されたが虚血性の肝細胞脱落は明らかではなかった。 サイトカイン/ケモカインの網羅的測定のため、LUMINEXの機器を保有する大阪医科薬科大学に検体を送付し測定を実施いただいた。測定結果の解析は2023年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に記述のように初年度のCOVID-19による不測の事態が発生し実験を最初からやり直さざるを得ない状況となったため、進捗はやや遅れているが、本研究の主軸を担うCyTOF検体のサンプリングし直しは終了しており、最終年度での挽回は可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究先である米国ハーバード大学James A. Lederer研究室からCyTOF用抗体を輸入し、染色したサンプルを聖路加エスアールエル先端医療研究センターに送付し測定を依頼する。測定結果はクラウドデータベースOMIQにアップロードし多次元解析を行う。データ解析においては以前Cytobankによるデータ解析を行っていたが、より機能が向上し年間使用料の安価なOMIQを使用することとしたが、日米のOMIQ関係者からのサポート体制も万全であり、研究分担者も使用経験があるため実施に懸念はない。 本研究の目的の一つである免疫応答修飾因子のPICS予防効果の有効性検討のためCpG-ODN(敗血症誘導2時間後にCpG-ODN2mg /kgを皮下投与)を用いて同様の実験を予定する。
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Causes of Carryover |
高額な抗体の購入費を計上していたが、それを用いる研究は次年度以降に行うこととしたため次年度に繰り越し改めて購入の予定とした。
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