2023 Fiscal Year Annual Research Report
CyTOFを用いた集中治療後症候群の病態解明と予防法開発に向けた基盤研究
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21K09008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前川 邦彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (50439189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 剛志 北海道大学, 医学研究院, 助教 (30455646)
山川 一馬 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (50597507)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PICS / サイトカイン / ケモカイン / LUMINEX / 臓器障害 / second hit |
Outline of Annual Research Achievements |
PICSは盲腸結紮穿孔(CLP)あるいは糞便懸濁液腹腔内投与(FSI)により誘導し2か月生存したマウスをPICSモデルとした。Second hitとしてリポポリサッカライド(LPS)10㎎/kgを腹腔内投与した。 生存率: second hit後、CLP-PICS群とFSI-PICS群では全例生存したが、対照群の生存率はPICS群よりも有意に低かった(p=0.011)。組織学的評価:脾臓ではFSI-PICS群とCLP-PICS群において軽度のマクロファージ浸潤が観察された。肺では、すべての群で肺うっ血がみられ、その強度はFSI-PICS+LPS、対照+LPS、CLP-PICS+LPSの順であった。腎臓では、FSI-PICS+LPS群のマウス2匹に糸球体変性が観察されたが、他の群ではこの所見はみられなかった。肝臓では、FSI-PICS+LPS群のマウス2匹に急性胆管炎が観察された。脾臓では、マクロファージ浸潤はFSI-PICS+LPS群と対照+LPS群で重度であり、CLP-PICS+LPS群では中等度であった。さらに、CLP-PICS群では10例中5例に腫瘤形成がみられた。腫瘤の組織学的所見では脱落上皮の直近に好中球中心の炎症細胞浸潤が観察され、これは膿瘍と考えられた。周囲では、マクロファージの集団が観察され、顆粒腫を形成していた。 免疫学的評価: CLP-PICS群とFSI-PICS群は、G-CSF、IL-7、CCL-3、およびCCL-4などの炎症性サイトカインおよびケモカインのレベルが高く、IL-13およびTGF-β2などの抗炎症性サイトカインのレベルが低いという特性を持っていた。 LPSの腹腔内投与後のサイトカインおよびケモカインレベルは、炎症性または抗炎症性の効果に関係なく、CLP-PICS+LPS群およびFSI-PICS+LPS群で全てのサイトカインおよびケモカインが抑制されたことを示していた。この傾向は特にCLP-PICS+LPS群で顕著であった。対照+LPS群では、LPSの投与によって高い炎症反応が誘発された。
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