2023 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性伝達物質発現調整によるジストニア改善の試み;GAD65とVGAT過剰発現
Project/Area Number |
21K09328
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渕上 竜也 琉球大学, 病院, 講師 (10381211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神里 興太 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10554454)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抑制性神経伝達物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジストニアは根本治療法がない,運動異常と姿勢異常を主な症状とする疾患群である.本症は大脳にある基底核をはじめとする神経による運動促進と運動抑制のアンバランスが生じていることで,運動機能の調整がうまくいかないことが大脳で生じていると考えられる.ジストニアにおいては大脳皮質において興奮性神経伝達物質が増えていることが想定される.本研究の目的は「ジストニアに対する新たな治療法として大脳・脊髄における抑制性神経伝達物質の産生・放出を調整(増大)させることの有用性を評価する」ことである.つまり、「不足している抑制性の神経伝達物質を遺伝子治療の技術を用いて大脳脊髄で増加させることによりジストニアの症状が緩和できないか検討する」ことである。我々の技術であれば頸髄に対する一度の治療で大脳にも遺伝子を導入することが可能である.今回我々は本申請においてジストニア動物モデルを利用し,脊髄運動神経・大脳運動野をターゲットとした全身性ジストニアの新たな治療法を探索する.その具体的ステップとしては以下を計画している. (1)実臨床でも使用されているウイルスベクターであるアデノ随伴ウイルス( 本研究においてはAAV9 )を用いた検討を行う.遺伝子導入による治療を目標としており、グルタミン酸デカルボキシラーゼGAD65/小胞GABAトランスポーターVGATの過剰発現による不随運動改善効果を検討する.(2)大脳・頸髄における導入した遺伝子であるGAD65/VGATの増加を確認する.また抑制性神経伝達物質(GABA)の増加が生じているのかを検討する.(3)異常運動を電気生理学的に評価する.(4)導入した遺伝子がどの程度脊髄神経細胞へ導入されたかを検討する. 本研究課題においては(1)、(2)を実施しつつ(3)、(4)へと移行し、それぞれの個体における機能評価及び分子細胞学的評価を推進した.
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