2021 Fiscal Year Research-status Report
再発転移頭頸部癌に対する免疫チェックポイント阻害療法が腫瘍関連B細胞に与える影響
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21K09595
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小松 誠和 久留米大学, 医学部, 講師 (50343687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 剛治 久留米大学, 医学部, 准教授 (70449916)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニボルマブ / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「ニボルマブの投与により腫瘍関連B細胞は抗腫瘍免疫を亢進するのか、抑制するのか」という学術的「問い」を明らかにするために、ニボルマブ投与前後の末梢血においてB細胞の組成と機能がどのように変動するのかを明らかにすることを目標の一つとしている。 本年度は被験者の登録並びに経時的採血を継続的に行った。本年度までに50症例を超える登録を完了している。画像評価では、加療に伴い完全奏功(CR)、部分奏功(PR)もしくは安定(SD)を認める被験者も確認されているが、増悪(PD)を認める被験者が多い。奏功症例と増悪症例の一部被験者において行った末梢血単核球(PBMC)の代表的細胞表面マーカーのフローサイトメトリー解析ではB細胞(CD19陽性、CD20陽性細胞)の割合に大きな変化は認めなかった。 しかしながら、ニボルマブ投与前の採血時、並びにニボルマブ投与後の採血時の血漿中の腫瘍抗原(NY-ESO-1)に対する抗体を測定したところ、NY-ESO-1に対する抗体が高値を示す群は無増悪生存期間(PFS)が短い傾向にあった。一方で、NY-ESO-1に対する抗体が低値を示す群はPFSが長い傾向にあった。なお、陰性コントロールとして設定した抗原(BSA)に対しては抗体をほとんど認めず、こちらはPFSとの相関は認めなかった。種々の抗原に対する抗体の存在が抗腫瘍効果に対して直接的影響を与えているのかは定かではないが、少なくともNY-ESO-1に対する抗体の産生はニボルマブによるPFSの延長に関して負の相関にあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍にも関わらず、順調に症例登録を進行している。CR症例はほとんどいないがPR症例を認めており、SD、PD症例と併せて各種解析を始めている。多額の費用がかかるいくつかの解析については症例を絞って解析するため、その臨床経過の様子を見て解析症例を絞っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
計画どおり、今後も末梢血単核球のフローサイトメトリー解析や血漿中のサイトカイン、抗体、遊離DNAの推移も解析していく。また、腫瘍組織の免疫組織化学に着手し、腫瘍微小環境の解析を行う方策である。
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Causes of Carryover |
細胞分離などに係る試薬や消耗器具について現有のものを使用することができたため。その分は解析に用いる各種試薬の購入に充足する予定である。 また、コロナ禍による社会における半導体不足の影響により購入しようとした物品の納期が遅れたため次年度使用額が生じた。こちらの発注中の物品に関しては次年度に納入される予定である。
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Research Products
(3 results)