2022 Fiscal Year Research-status Report

スクレロスチンを新規標的マーカーとした糖尿病関連歯周炎の非侵襲的診断法の開発

Research Project

Project/Area Number	21K09874
Research Institution	The University of Tokushima
Principal Investigator	稲垣裕司徳島大学, 病院, 講師 (50380019)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	木戸淳一徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315) [Withdrawn] 板東美香徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10510000) 生田貴久徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00746563)
Project Period (FY)	2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords	スクレロスチン / 糖尿病関連歯周炎 / 歯肉溝滲出液 / AGEs
Outline of Annual Research Achievements	本研究は、徳島大学病院歯科・歯周病科に来院する糖尿病関連歯周炎患者、非糖尿病歯周炎患者および対照健常者を被験者とする臨床研究である。初年度（2021年度）、被験者の口腔内からサンプル（唾液や歯肉溝滲出液）を採取してスクレロスチン（SOST）などのバイオマーカーを測定するために、当大学の臨床研究倫理審査委員会に申請を行い承認を得た。また糖尿病の診査に必要な機器（AGEsセンサや簡易型の血糖値／HbA1c測定器）を購入し、診査・サンプル採取からELISA法（Sclerostin,Human, ELISA Kit）によるSOST測定・解析までのシステムを構築した。2022年度は大学病院の外来において被験者のエントリーを行ったが、COVID-19流行で外来患者の人数が大幅に減少した影響もあり、当初の予定人数（３群、各群20名以上）には達しなかった。そこで集まったサンプルをもとに複数のメーカーのELISA Kitを用いて歯肉溝滲出液中のSOSTを定量した。その結果、歯肉溝滲出液中のSOSTは10～20pg/mLの濃度で検出できたが、現在までのところ、歯肉溝滲出液中のSOST濃度と皮膚で検出したAGEsやHbA1cとの関連性は得られていない。今後、被験者数（例数）を増やして関連性を明らかにしていく予定である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 臨床研究では、病院外来にて被験者のエントリーを行っているが当初の予定人数（３群、各群20名以上）には達していない。特に糖尿病関連歯周病患者はもともと人数が少ないにもかかわらず、COVID-19流行で外来患者の人数が大幅に減少した影響もあり、予定通りにエントリーができていない。さらに当初使用を予定していたメーカーのELISAキットでは、歯肉溝滲出液中のSOSTはいずれの部位でも検出限界値未満で測定できなかった。そのため、歯肉溝滲出液中のSOSTの検出が可能なELISAキットを複数の別メーカーのものから選定するのに時間を費やした。
Strategy for Future Research Activity	臨床研究では、引き続き被験者のエントリーを行うとともに、2022年度同様、被験者から唾液や歯肉溝滲出液を採取する。そして採取したサンプル中のSOSTを通法に従い抽出し、2022年度に新たに選定したELISAキットにより順次測定していく。また並行して歯周ポケット内の口腔内細菌を採取し、P. gingivalis、Tannerella forsythia、Treponema denticola、Aggregatibacter actinomycetemcomitans の定量を検査会社に外注する。一方、基礎研究では骨細胞株を用いた細胞実験を継続するとともに、糖尿病ラット（絹糸結紮により歯周炎を惹起した）の歯周組織のパラフィン切片に対して、SOSTの抗体を用いて免疫組織化学染色を行う。
Causes of Carryover	被験者のエントリーが当初の予定通りに進まなかったため、臨床研究に係る物品費等（ELISAキットや細菌検査の外注経費など）が予定通りに執行できなかった。同様に、基礎研究でも細胞実験や動物実験（免疫染色）に用いるSOSTの一次抗体の反応性が悪く予定通りに執行できなかったため次年度使用額が生じた。翌年度は細胞実験や免疫染色において新たなSOSTの一次抗体が必要になる。したがって翌年度の研究費には2022年度執行できなかったELISAキットや細菌検査の外注費用に加えて、基礎研究に係る物品費に使用する予定である。