2021 Fiscal Year Research-status Report
活性フラボノイドを用いた口腔潜在的悪性疾患に対する治療薬の開発
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21K10076
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 伸一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60836683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 大模 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (10571680)
増田 誠司 近畿大学, 農学部, 教授 (20260614)
尾関 哲也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (60277259)
青木 尚史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60747252) [Withdrawn]
長尾 徹 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (90261007)
渋谷 恭之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90335430)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 活性フラボノイド / 口腔潜在的悪性疾患 / 治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内には様々な病変が存在するが,その中で前がん病変として広く知られているものが口腔内潜在性悪性疾患(OPMDs : Oral Potentially Malignant Disorders)である。OPMDsの一つである口腔白板症は治療法に薬物療法や慎重な経過観察、外科的切除などが提案されているが、有効性は信頼できるものではなく、予防や治療に関する統一された管理方法はない状態である。本研究では、過去に報告した活性フラボノイドによる抗腫瘍効果を元に、実際に製薬へつなげることである。製薬形態に関してはディスカッションの結果、フィルム製剤とした。白板症が慢性的な刺激によって生じることがあることから、患部を刺激から保護し、薬効を長時間患部に届かせる狙いがある。将来的な臨床応用を考え、患者ごとに内容量や形の調整ができるよう3Dプリンタを用いた製薬を行う。今回の実験に関しては、内容量や形は一律で設定している。まずは4NQO溶解水を用いた前がん病変モデルラットに対して製薬したフィルム製剤を塗布し、解析を行う。最終的に可能であれば製剤の安全性を確認した後、ヒトを対象とする医学系研究に関する倫理指針に基づき、倫理審査委員会に研究計画書を提出し承認を得てから臨床研究を実施する。ヒトへの臨床応用へ展開するために、探索的にまず第Ⅰ相試験を白板症患者で行う。先の動物実験から安全性の高い低用量より開始し、第Ⅱ相試験に移行するための推奨容量を決定する。 将来的な展望:本研究の将来的なエンドポイントは、新規口腔用貼付製剤の有効性を明らかにすることであり、最終的には多施設共同での臨床試験へと展開する予定である。具体的には名古屋市立大学口腔外科学と愛知学院大学顎顔面外科学講座を中心とした関連研修施設を登録施設として、口腔潜在的悪性疾患を有する100名規模の患者を対象に臨床試験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の流行に伴い,実験の進行に支障をきたした時期もあったが概ね良好に進んでいる。3Dプリンタを用いて活性フラボノイドを含有したフィルム製剤を製薬した。フィルムの物性調査は終わり、現在は解析中である。フィルムの重さは159.7±11.5mg、厚さは39.5±2.7μm(n=5)前がん病変モデルラットに対して実際に使用した。期待していた通り、ラットの発がん状況に差を認め、有用性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
最も発がん抑制効果が得られる活性フラボノイドの含有量や使用頻度の探索を行っていく。また、フィルム製剤に対する物性調査も進めていく。重さや厚みに加え、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)、X線解析(X-ray Diffraction:XRD)、溶出試験(Dissolution Test)等での解析を予定している。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行に伴い,実験の進行に支障をきたした時期もあり、また、学会活動の制限やweb開催などで旅費などの使用がほとんど必要なかったため支出が少なかった。研究成果の発表の機会が制限されたため論文投稿などの予定も若干遅れているため投稿費なども支出がなかったことも挙げられる。年度末より実験の進行も概ね良好に進んでいる。今年度は研究の成果を学会発表および論文掲載を考えており昨年度の繰り越し分についてもこれらに充当する予定である。
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