2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K10130
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安田 元昭 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (90239765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 史裕 北海道情報大学, 医療情報学部, 教授 (50301891)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解ウイルス / アデノウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は主に2つの実験を行い以下の結果を得ることができた。 ①アデノウイルス初期プロモーター(E1,E2,E3,E4)さらに主要後期プロモーターLuciferase上流にクローニングしたレポーター遺伝子を作成し、種々の細胞内での発現を確認した。HeLa細胞を用いて、山中4因子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)の強制発現によるアデノウイルス初期遺伝子プロモーターの発現変化をLuciferase assay により検討した。この実験では、山中4因子のうちOct3/4, Sox2がE1プロモーターを有意に抑制した。Lin28AおよびNanogの強制発現はE1プロモーター活性化に影響をおよぼさなかった。また内在性Tp53が欠損しているH1299肺がん細胞を用いた実験においてはTp53とKlf4が相互作用し互いの転写因子としての作用を抑制しあうことが確認された。これまでOct3/4とSox2の共発現ががん幹細胞性の形質誘導に重要であることが報告されており、このような細胞では少なくとも野生型のE1領域を有するヒトアデノウイルスの増殖が抑制される可能性が示唆された。 ②線虫およびヒトBNIP3の共通アミノ酸配列に対するポリクローナル抗体の作成に成功した。この抗体によりウイルス非増殖性の齧歯類動物の正常細胞における内在性のBNIP3とp62の共局在を検出できる可能性が高くなった。ヒト細胞系ではヒトアデノウイルスの増殖性が著しいため、細胞形態の異常が著しく、これまでごく初期の感染ステージでのみ画像解析が可能であったが、非増殖性細胞へのウイルス感染実験でBNIP3検出が可能になったことから, 感染後期における状況について、より詳細な解析が期待できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りがん幹細胞様細胞において、腫瘍溶解ウイルスの増殖を抑制しうる細胞内因子の候補を絞り込むことができた。これによりウイルス遺伝子改変の方向性が見えてきたことは、本研究計画遂行において、一つの大きなハードルを越えることができたのではないかと考えられる。また特異抗体の作成にも成功したため、令和3年度に達成できなかった目標にも到達することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回候補となったOct3/4およびSox2が影響をおよぼしているウイルスプロモーター配列の特定ができれば、比較的マイルドな改変によりより増殖効率の高い腫瘍溶解ウイルスの作成が可能となる。
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Causes of Carryover |
年度末キャンペーン価格の導入などにより、当初予定していた試薬類の価格が低くなったためであり、実験計画遂行においては問題ないと考えられる。
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Research Products
(1 results)