2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of new dental identification method by remote analysis that can be used with COVID-19
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21K10254
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高野 栄之 徳島大学, 病院, 特任助教 (30380091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃田 幸弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (00304543)
寺田 賢治 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (40274261)
西村 明儒 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (60283561)
主田 英之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90335448)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 個人識別 / 災害歯科医学 / 画像解析 / 大規模災害 / 身元確認 / 歯科法医学 / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歯科的身元確認のデジタルトランスフォーメーション(DX)である。これまで歯科的身元確認は手作業によって行われていたが、東日本大震災では未曾有の犠牲者が生じ、南海トラフ大地震ではその更に20倍の犠牲者がでる可能性がある。犠牲者の迅速な身元確認は、遺族の心痛軽減だけでなく、遺体の腐敗による伝染病の発生の予防や事態収拾、早期復興という面でも非常に重要である。本研究では同分野の社会実装研究として歯科的身元確認を遠隔解析で行う新しい方法を開発し、災害犠牲者の歯科的な身元照合のリモート化を実現する。 研究チームは初年度にAlign Technology社の口腔内スキャナー「iTero element」を導入し、初年度と本年度の間に学生ボランティアと同意を得た患者から約150例の口腔内の3Dデータを収集した。なお、この研究は徳島大学病院医学系研究倫理審査委員会の承認を受けて実施されている(申請番号4017)。 現在、収集した3Dデータのアノテーション作業を行い、教師データを作成し、AIの開発を進めている。特徴的な簡単な所見については、正しい解析が9割以上の精度で行えるようになっている。 さらに、作業の遠隔支援を実現するために、Web会議システムを使用して徳島県と神奈川県の離れた場所で、3Dデータや音声をやり取りしながら、所見解析を行う実装試験も行った。その結果、歯科的身元確認に役立つ所見データを作成することができ、遠隔支援が可能であることが確認された。 また、研究の成果に関しては、学会や論文による発表も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、以下の3つの項目について計画していた:① 3Dスキャナーによる口腔内所見の記録、② AIを用いた3Dデータ解析アプリケーションの開発、③ 生前データベースとの照合である。 ①に関しては、現在約300例の収集が終了している。 ②に関しては、開発は順調に進んでおり、さらなるサンプル数の収集により、教師データの充実とAIの精度の向上が期待されている。 ③に関しては、計画当初は徳島県独自の医療情報ネットワーク「阿波あいネット」の活用を予定していた。しかし、2022年から政府により「国民皆歯科健診」の検討が始まっており、この健診制度が実現すれば、生前データベースとして活用できる可能性がある。われわれの研究のデータ構成も互換できるよう、制度に関する議論にも注目して取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展望として、更なるサンプル数の収集と将来的な健診制度に合わせた歯科的身元確認システムの構築を進める。 精度の高いAI開発のためには、少なくとも2000~3000のサンプルが望ましいと考えられる。そのため、次の段階では多施設共同でのサンプル収集とAI開発を検討している。具体的には、日本歯科人工知能研究会といった組織の協力を得て、研究を進める予定である。現在、協力体制を整えるための調整を進めている。 本研究により、小規模な基礎的研究を完成させ、次の大規模な研究の実施につなげる予定である。より多くのデータと協力体制を得ることで、歯科的身元確認システムの信頼性と実用性を向上させることを目指している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、現地開催の学会が少なく、旅費が予定より少なくなったことにより次年度使用額が生じた。感染拡大が落ち着いたため本年度は学会の現地開催も多くなると考えられ、積極的な成果発表に、使用する予定である。
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Research Products
(3 results)