2022 Fiscal Year Research-status Report
大気中オゾンがヒトの呼吸器および循環器系に及ぼす影響の解明
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21K10457
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
余田 佳子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80748434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 正之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40226197)
高木 洋 弓削商船高等専門学校, 情報工学科, 教授 (30171424) [Withdrawn]
伊藤 武志 弓削商船高等専門学校, 総合教育科, 教授 (10435472)
益崎 智成 弓削商船高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (30779905)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オゾン / 個人曝露 |
Outline of Annual Research Achievements |
春から夏にかけて光化学オキシダントが高濃度となり、健康に及ぼす影響が懸念されている。そこで光化学オキシダントの主成分であるオゾン濃度を測定し、日常生活でのオゾンへの曝露が健常者にどのような影響を与えるのか調査を行った。 2022年5月~6月の約1か月間、瀬戸内海の弓削島にある高等専門学校にて屋内外のオゾン濃度を自動測定器ELM-1(荏原実業)を用いて連続測定した。また、同意の得られた23名の学生にオゾンバッジ(PTIO、小川商会)を携行してもらい、個人曝露濃度の測定を行った。オゾンバッジは24時間ごとに交換し、月曜日から金曜日まで測定を行った。さらに、学生39名の毎日の眼・鼻・呼吸器症状についてWeb質問票を用いて評価し、週に1回血圧測定を行った。 研究期間中の1日毎のオゾン濃度の平均は、屋外45.4±20.1ppb、屋内44.4±20.4ppbであった。1日平均、日最高1時間値、日最高8時間値の屋内外のオゾン濃度と症状記録との関連を混合効果モデルを用いて解析した結果、屋外の日最高1時間値と鼻水の症状で関連がみられた(オゾン濃度の四分位範囲70ppb増加あたりオッズ比1.02(95%信頼区間1.00-1.03)。屋内日最高1時間値と鼻づまりの症状との有意な関連が見られた(四分位範囲80ppb増加当たり(OR):1.02(CI:1.00-1.04))。1日平均と日最高8時間値の屋内外のオゾン濃度と毎日の症状記録との関連は明確ではなかった。 今後は、屋内外のオゾン濃度と症状記録との関係を解析し、さらに個人曝露との関連を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者に呼吸機能検査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染防止のため呼吸機能検査は中止とした。しかし、質問紙調査により毎日の眼・鼻・呼吸器の症状記録を行ったため、調査に必要なデータを取得することができた。 オゾン濃度測定では、オゾン自動測定機を用いてデータを1分ごとに測定しており、屋内外の値を約1か月間取得することができた。さらに、個人曝露の測定においては、オゾン捕集フィルターを装着したオゾンバッジを携行してもらった。フィルターはイオンクロマトグラフィーを用いて分析を行い、濃度を換算することができた。 これまでにオゾンの曝露評価および対象者の健康影響評価についてのデータを取得しており、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度でデータが十分に得られたため、次年度は今年度に得られたデータの解析を行い、オゾン曝露が健常者の健康に及ぼす影響を解明し、成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、対象者に行う予定であった呼吸機能検査を中止した。検査機器の校正費用やディスポーザブルマウスピース購入費用の支出がなくなったため、次年度に使用することにした。昨年度実施した調査内容の結果を国際学会での発表や論文投稿などの成果公表のために使う予定である。
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