2023 Fiscal Year Research-status Report
Taktil massageのオキシトシン分泌・ストレス緩和効果と安全性の検証
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21K10542
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩佐 幸恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (60432746)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Taktil massage / オキシトシン / ストレス緩和 / 自律神経 / クロスオーバー試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
Taktile massageは皮膚を撫でるように柔らかく触るマッサージ法で,1960年代にスウェーデンにおいてSiv Ardebyによって開発された。本研究の目的はTaktile massage を補完代替療法の一種である音楽療法と比較することによって,ストレス緩和効果,そして安全性を検証することである。本研究はランダム化クロスオーバー試験であり,健康な成人を対象にTaktil massage(第1介入)と受動的音楽療法(第2介入)をランダムに割り振り,唾液試料によるオキシトシン等のホルモン濃度,心拍変動解析による自律神経機能評価,主観的評価指標である気分プロフィール検査(POMS2日本語版)をアウトカムとした。介入前後に唾液の債主と気分プロフィール検査を実施し,心電波形を試験の間中記録し心拍変動解析による自律神経評価を行った。32名(マッサージ先行群16名,音楽療法先行群16名)の健康な成人の参加をえて実施した結果,気分の状態を示すPOMS 2短縮版は二元配置分散分析の結果,持ち越し効果については認められなかった。また,治療効果についても認められず,マッサージと音楽療法の間に有意な効果の差はなかった。時期効果については「友好」以外に認められ,Ⅰ期の方が効果が大きかった。ただし,マッサージ音楽療法ともに介入後は気分の改善が有意に認められた。自律神経活動の変化は二元配置分散分析の結果,持ち越し効果,時期効果については一部認められた。治療効果についてはマッサージの方が有意に効果的であり,心拍数が低下し副交感神経の働きが活性化され,反対に交感神経の働きは低下した。リラクゼーション技法終了後,バイタルサインを測定した結果,異常値はなかった。自律神経活動においてマッサージの方に治療効果が求められたのは,タッチングによるものと推測する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で,防護具なしに被験者と施術者が密に接することは難しく実施を見合わせていたが,本年度5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し,ようやく32名のデータを収集することができた。オキシトシン等の唾液試料中ホルモンについては,データは収集したものの未だ解析に着手できていないため,本研究の進捗状況は,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
アウトカムの一部に,時期効果,持ち越し効果が確認されたため,ウオッシュアウト期間を延長し,データを追加で収集する。また,並行してオキシトシン等の唾液試料中ホルモンについても解析を進める。そして,その結果を学術集会で発表し,雑誌にも投稿する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で研究の進捗が遅れ,学会発表の旅費や英文校閲などの費用が発生しなかったため次年度使用額が生じた。補助事業期間を延長して繰り越した金額は学会発表,論文投稿のために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)