2021 Fiscal Year Research-status Report
出生前遺伝学的検査における女性の自律的意思決定に向けたプレコンセプション教育
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21K10843
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
片田 千尋 兵庫医療大学, 看護学部, 講師 (10708556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一友 大手前大学, 国際看護学部, 教授 (30203897)
岡田 公江 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00437443)
澤井 英明 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80215904)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NIPT / 出生前診断 / 意思決定支援 / 女性 / プレコンセプションケア |
Outline of Annual Research Achievements |
母体の採血のみで胎児の染色体異常が高精度で検出できる非侵襲的胎児遺伝学的検査(NIPT)に関する妊娠前教育について検討するために、生殖年齢にある非妊娠女性のNIPTに関する知識や認識の現状を明らかにすることを目的に、2021年12月にウェブ調査を行った。調査会社にデータ収集を委託し、研究協力に同意が得られた20~49歳の非妊娠女性を対象に、基本情報、NIPTの認知や受検意向、出生前診断に関する知識等で構成された質問票に無記名で回答を求めた。その結果、1,282名より回答が得られ、そのうち完全回答が得られた1,250名(97.5%)を分析対象とした。 対象者の年齢は34.9±8.3歳で、妊娠経験のない女性は745名 (59.5%)であった。NIPTの認知については、NIPTの「名前のみ聞いたことがある」が310名(24.8%)、「名前さえ聞いたことがない」が557名(44.6%)であった。また、NIPTについて紙面上で説明した後に、現在妊娠したと仮定した場合のNIPT受検の意向について尋ねると、「受検する」が120名(9.6%)、「受検しない」が718名(57.4%)、「意思決定できない/わからない」が412名(33.0%)であった。 本研究結果より、妊婦がNIPTを受検できるようになってから約10年が経過するが、生殖年齢にある非妊娠女性の約7割は、NIPTについてほとんど認知していない現状が明らかとなった。また、NIPTに関する基本的な情報を紙面上で説明しても33%の女性が意思決定できなかったことから、意思決定支援の必要性が示唆された。NIPTは、妊娠継続の有無という倫理的側面を含む選択が必要であり、先行研究において受検後に後悔した女性の報告もみられることから、女性が受検について熟考できるためにも妊娠前からの情報提供と意思決定支援の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2021年~22年にかけて有識者を対象とした質的研究を行い、NIPTに関する妊娠前教育のプログラム内容の検討を行う予定であった。しかし、申請者が非妊娠女性のNIPTに関する知識や認識について調査してから7年が経過しており、他の調査研究も見当たらなかったことから現状が把握できていなかった。そのため、まずは現状を把握することを目的に、生殖年齢にある非妊娠女性を対象にWeb調査を行い、NIPTに関する知識や認識の現状を明らかにした。 したがって、研究計画の予定変更を行ったが、上記の研究結果をもとに研究プログラムの内容検討も行えることから、研究の進捗は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に実施したWeb調査の結果をもとに妊娠前教育プログラムの内容を検討し、有識者(臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー、助産師、ダウン症児の母親等)の意見に基づきプログラム内容の修正を行う予定である。 2023~24年度は、上記をもとにeラーニング教材の試作版を作成し、有効性の評価を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度の研究計画を、質的研究からWebを用いた量的調査に変更したことから、当初計画よりも必要額が超過したため、\200,000の前倒し支払請求の申請を行った。しかし、見積り額よりも低額で実施できる業者に依頼できたことから、\142,800が未使用となっている。 2022年度より、教育プログラムの教材開発に向けて調査および試作を進めていくため、昨年度の未使用額も含めて、調査および開発費用に充てる予定である。
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