2023 Fiscal Year Research-status Report
閉経年齢の規定要因の解明および閉経年齢を考慮した疾患別リスク評価モデルの構築
Project/Area Number |
21K11089
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
上村 浩一 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (50346590)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有澤 孝吉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30203384) [Withdrawn]
釜野 桜子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (00612574)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 閉経年齢 / 慢性炎症 / 動脈スティフネス |
Outline of Annual Research Achievements |
日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)は、徳島地区も含めて、ベースライン調査およびベースラインからの生活習慣の変化を調べる第二次調査は完了しており、がんをはじめとする生活習慣病等の罹患を調べる追跡調査が2025年まで予定されており、さまざまな疾患の罹患データや死亡データの蓄積が進んでいる。 女性では、閉経後にエストロゲンの欠乏により、肥満が増え、骨粗鬆症や心血管疾患が増加することが明らかであり、閉経年齢の早い遅いが、その後の疾患の罹患に影響する可能性がある。内臓脂肪の蓄積を反映すると考えられる脂肪肝の代替指標であるFatty Liver Index (FLI)が男女ともに、慢性炎症の程度や動脈スティフネスに関連していることを見出し、英語論文を執筆中である。さらに、閉経年齢と様々な疾病との関連を検討するための予備的な検討として、年齢や潜在性交絡因子を調整した上での動脈スティフネスと閉経状況との関連について検討し、日本人女性において月経状況が動脈スティフネスに関連しており、月経整順に比べて、月経不順、さらに閉経後は、動脈壁の弾力性が低下し、その機序として、慢性炎症とは別の機序が関与している可能性を見出し、第93回日本衛生学会(2023年3月2日~4日)で発表した。令和5年度は、FLIと慢性炎症の程度や動脈スティフネスの関連に関する英語論文の執筆や、慢性炎症の程度や動脈スティフネスと閉経年齢をはじめ月経期間(閉経年齢と初経年齢の差)や生殖関連要因(出産回数など)との関連についてのプレリミナリーな解析を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)においては、徳島地区も含めて、ベースライン調査およびベースラインからの生活習慣の変化を調べる第二次調査は完了しており、がんをはじめとする生活習慣病等の罹患を調べる追跡調査が2025年まで予定されており、さまざまな疾患の罹患データや死亡データの蓄積が進んでいる。 日本を含めた先進国では肥満の有病が増えていることが公衆衛生上の大きな課題であり、肥満者に多い脂肪肝の代替指標であるFatty Liver Index (FLI)が慢性炎症の程度や動脈スティフネスと関連していることを見出し、英語論文を執筆中であり、閉経年齢と様々な疾病との関連を検討するための予備的な検討として、年齢や潜在性交絡因子を調整した上での月経状況が動脈スティフネスに関連しており、月経整順に比べて、月経不順、さらに閉経後は、動脈壁の弾力性が低下し、その機序として、慢性炎症とは別の機序が関与している可能性を見出し、第93回日本衛生学会(2023年3月2日~4日)で発表した。現在、2025年まで予定の追跡調査が進行中であり、執筆中の論文のブラッシュアップおよび慢性炎症の程度や動脈スティフネスと閉経年齢をはじめ月経期間(閉経年齢と初経年齢の差)や生殖関連要因(出産回数など)との関連についてのプレリミナリーな解析を実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
さまざまな疾患の基礎的病態であると示唆されている全身性の慢性炎症の代替指標である血中高感度CRP値や、動脈硬化の指標としての動脈スティフネス(上腕―足首間の脈波伝播速度)、あるいは近年肥満に伴い有病率が増えている脂肪肝の代替指標であるFatty Liver Index (FLI)値などと、閉経年齢をはじめ閉経状況や月経期間(閉経年齢と初経年齢の差)およびその他の生殖関連要因(出産回数など)との関連について、さらに詳細に検討し、関連が得られれば、その機序や既知のリスク要因との交互作用等について検討し、その成果を学会発表や海外学術雑誌での誌上発表などを通して公開していきたい。 さらに、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)において、がんをはじめとする生活習慣病等の追跡調査にて、罹患データや死亡データ等の蓄積が進み、データクリーニングが完了したデータを用いて、女性特有の疾患や女性に多い種々の疾患と閉経年齢をはじめとする生殖関連要因との関連について詳細に検討し、既知のリスク要因との交互作用なども検討し、それらの成果を学会発表や海外学術雑誌での誌上発表で報告していきたい。
|
Causes of Carryover |
令和5年度は、脂肪肝の代替指標であるFatty Liver Index (FLI)と慢性炎症の程度や動脈壁の硬化度(動脈スティフネス)の関連に関する英語論文の執筆や、慢性炎症の程度や動脈スティフネスと閉経年齢をはじめ月経期間(閉経年齢と初経年齢の差)や生殖関連要因(出産回数など)との関連についてのプレリミナリーな解析に時間を要したため。 次年度の研究費の使用計画は、肥満者に多い脂肪肝の代替指標であるFatty Liver Index (FLI)が慢性炎症の程度や動脈壁の硬化度(動脈スティフネス)に関連していることを見出し、英語論文を執筆中であり、英文校正や海外雑誌への投稿、掲載費に使用するとともに、さまざまな疾患の基礎的病態の可能性のある慢性炎症や動脈硬化の指標としての動脈スティフネスと閉経年齢をはじめ月経期間(閉経年齢と初経年齢の差)や生殖関連要因(出産回数など)との関連について、さらに詳細に検討するための情報収集のための学会出張や関連する諸費用に使いたい。日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)において、がんをはじめとする生活習慣病等の罹患データや死亡データの蓄積が進めば、種々の疾患と閉経年齢との関連について詳細に検討し、成果の発表をおこなうための学会参加費・旅費や成果を海外雑誌に投稿するための費用などに使用したい。
|