2021 Fiscal Year Research-status Report
皮膚刺激によるメラトニン分泌促進作用の神経性機序の解明と高齢者の睡眠ケアへの応用
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21K11283
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
渡邉 信博 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00540311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メラトニン / 松果体 / マイクロダイアリシス法 / ELISA法 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠を司るホルモンであるメラトニンは脳(松果体)で合成・分泌されるホルモンで、自律神経(交感神経)の活動により分泌調節される。臨床的には、皮膚をさする刺激が入眠を促し、睡眠の質を高めることが報告されているが、皮膚への刺激がメラトニン分泌に影響を及ぼすことを実証した報告は見当たらない。そこで本研究では、皮膚への刺激が松果体からのメラトニン分泌に及ぼす影響とその神経性機序を明らかにすることを目的とする。 今年度は、マイクロダイアリシス法によりラットの松果体の潅流液を回収し、液中に含まれるメラトニン量をELISA法により定量化する方法を確立した。 麻酔下の雄性ラットの頭蓋骨の一部を除去して上矢状静脈を切除し、松果体を視認しながら透析膜のついたマイクロダイアリシスプローブを刺入した。灌流液を毎分1μLの速度で流し、氷上に置いたサンプルカップ中に灌流液を回収した。 その結果、回収した灌流液中に含まれるメラトニン濃度は数10 pg/mL程度であること、β受容体刺激薬を全身投与することにより灌流液中のメラトニン濃度が著しく増加することが分かった。 さらに、灌流液を20分毎に繰り返し採取し灌流液中のメラトニン濃度の経時変化を検討した。その結果、灌流液中のメラトニン濃度は安定しており、サンプル間の違いは約10%程度であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
麻酔下ラットの松果体の灌流液を回収・検出するための実験条件が決まったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に確立した実験方法を活用し、体性感覚刺激によるメラトニン分泌に対する作用を検証し、神経性メカニズム(交感神経系の関与)を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも効率的にサンプリングの条件が決定したため、使用する動物数およびELISAキット数が予定よりも少なく済んだ。またELISAキットが特価にて購入できたため、当初の想定よりも安価に入手できたこと。その結果、研究費の未使用分が生じた。 未使用の研究費は、ELISAキット(2022年度に価格が上がることが既に伝えられている)や受容体刺激薬・遮断薬等の消耗品の購入に充てさせていただく。
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